【エバー航空198便搭乗記】台北発成田、思いがけない客室乗務員の機転に涙[ロイヤルローレルクラス]

エバー航空
台北・桃園~成田に就航しているエバー航空Boeing 787-10機(提供:エバー航空)
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台湾経由で欧州へ。ヨーロッパへスポーツ取材に出向くにあたり、様々なエアラインを比較検討して「エバー航空」を選びました。乗り継ぎの利便性、サービス、そして何より安心安全。エバー航空は、1989年の設立以来、死亡事故などの重大な事故を一度も起こしていないエアラインです。取材旅行第1弾となったイタリア・ミラノからの帰路、私が搭乗した最後のフライトは台北・桃園(タォユェン)空港から成田空港に帰国するBR198便でした。ロイヤルローレルクラス(ビジネスクラス)での印象的な機内をリポートします。

搭乗便(2024年3月6日)
BR198 台北・桃園(ターミナル2)08:50⇒成田12:05着(台湾より+1時間)
Boeing 787-10

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乗り継ぎ1時間半 ちょうどいいアクセント

台北・桃園空港のエバー航空ラウンジ「ザ・インフィニティ」

ミラノ・マルペンサ空港から台北・桃園空港に到着したのは午前6時20分。それから1時間半の乗り継ぎで成田へのBR198便は午前8時50分に出発します。第1ターミナルのA9ゲート付近にある喫煙所で一服。そこから1フロア上がって、ロイヤルローレルクラス(ビジネスクラス)なら利用できるThe Infinity(ザ・インフィニティ)ラウンジで洗顔や歯磨きをして身支度を整えます。フルーツをつまんでビタミンCを補給したら、もう搭乗時間です。この1時間半の台湾でのトランジットがまた快適です。むしろちょうどいい旅のアクセントのように感じます。免税店やレストラン、ブランドショップも早朝なのにフルオープンしていて、買いそびれた土産物も買い足すことができます。

台北から成田は3時間5分

成田には1時間の時差をプラスして12時5分に到着します。所要時間3時間5分。行きの成田―桃園国際空港が4時間5分のフライトだったことを考えると、西から東へ流れる偏西風のおかげで帰りは同じ2180キロの距離なのに、1時間も短縮されるから不思議です。下記は最新のスケジュールです。

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便名成田⇒台北・桃園スケジュール運航所要時間
BR183成田(NRT)13:25⇒台北(TPE)16:05毎日3時間40分
BR197成田(NRT)14:25⇒台北(TPE)17:05毎日3時間40分
BR195成田(NRT)20:40⇒台北(TPE)23:20毎日3時間40分
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便名台北・桃園⇒成田スケジュール運航所要時間
BR184台北(TPE)07:55⇒成田(NRT)12:25毎日3時間30分
BR198台北(TPE)09:00⇒成田(NRT)13:25毎日3時間25分
BR196台北(TPE)15:20⇒成田(NRT)19:40毎日3時間20分

日本人ビジネス客には「穴場エアライン」?

ラウンジから10分ほど歩く搭乗ゲート「C3」に着くと、お土産を両手に抱えたスーツ姿の日本人ビジネスマンの団体が4人で談笑していました。この日、2024年3月6日は福島・JR郡山駅で下りの山形新幹線が停止位置を通り過ぎるオーバーランが起き、東北新幹線は一時、東京駅と盛岡駅の間の上下線で運転を見合わせていました。きっと東北に帰るのでしょう。ビジネスマンたちは「このまま新幹線が止まってたら、東京にもう一泊しようか」などとスマホのニュースをチェックしながら話すのが聞こえました。

優先搭乗の列に並びながら、ほかの乗客が手に持つパスポートを遠巻きに観察していたのですが、ほとんどが台湾人の個人か、家族同士と見受けられました。つまり、日本人が圧倒的に少ないのです。欧州経由で帰国する場合も含め、私のように台湾から成田へのビジネス客にとってエバー航空はまだまだ「穴場エアライン」なのだろうと感じました。

機材、食事、人にもぬくもり

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エバー航空ロイヤルローレルクラスのキャビン
エバー航空ロイヤルローレルクラスのキャビン(提供:エバー航空)
エバー航空ロイヤルローレルクラスのヘッドフォン
ノイズキャンセリング機能付きヘッドフォン
エバー航空ロイヤルローレルクラス
フルフラットになる座席(提供:エバー航空)

アサインされた座席は最前列の1K。「ハラダさん。ご搭乗ありがとうございます」。台湾人の客室乗務員がはっきりした日本語でしかも、はじけるような笑顔で迎えてくれました。ロイヤルローレルクラスのフルフラットベッドにもなるラグジュアリーな座席や機内装備、機内食のクオリティの高さは往路のレポートにも記載した通りです。

どうしてもやりたいことが

エバー航空ロイヤルローレルクラスのモニターは18インチ
エバー航空ロイヤルローレルクラスの18インチモニター

最後のフライトとなる機内でどうしてもやりたいことが私にはありました。それは、映画の続きを観ることでした。ミラノ・マルペンサ空港から台北・桃園空港までのフライトの「エンターテインメントサービス」で観ていた「劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』のラスト15分のクライマックス。その肝心なシーンがちょうど着陸態勢と重なってしまい、見逃していました。映画の続き、結末が気になって仕方がなかったのです。

エバー航空の映画は高品質のヘッドホンで臨場感たっぷりの音響のもと、オンデマンドで観られます。満を持して壮絶なラスト15分を観ていると、自然と涙がぽろぽろ。その時です。さきほどのはじける笑顔の客室乗務員が、今度は私をいたわるようなまなざしで「涙をふいて」と言わんばかりに、おしぼりを差し出してくれたのです。映画のラストの感動と相まって、今度は客室乗務員と目を合わせて泣き笑い。「ありがとう」。一本のおしぼりに大量の涙が吸い込まれていきました。

助け合い精神を垣間見た機内

2011年の東日本大震災や2024年元日の能登半島地震の際、民間から多額の義援金が寄せられたことは、台湾の優しさを象徴する出来事として記憶している人も多いでしょう。台湾には「「受人滴水之恩、当似湧泉相報」(人の助けや親切は、忘れずに恩返しする)という格言があるそうです。1999年に起こった台湾中部地震の際にいち早く救助に駆けつけた日本を、今度は自分たちが助ける番だという気持ちが多額の義援金につながったともいわれています。

2024年2月には羽田空港から台北・松山空港に向かっていたエバー航空の機内で、女性が男児を出産したという台湾メディアの報道に触れました。女性は機内に乗り合わせた医師の乗客4人や客室乗務員の協力を得て出産し、母子は着陸後に病院へ搬送されてともに無事だったというニュースでした。この報道に胸が熱くなるとともに、乗客の命を救った客室乗務員の奮闘に思いを馳せました。

困っている人にはさりげなく手をさしのべる台湾の人々の温かさを、エバー航空の乗務員から感じた旅のエピローグでした。

台湾桃園国際空港 台北の西40㎞、桃園(Taoyuan、タォユェン)にある台湾最大の国際空港。第1ターミナルはピーチ、ジェットスター、タイガーエア台湾、スターラックスなど、第2ターミナルはエバー、JAL、ANA、スターフライヤーなどが離発着する。7~24時間の乗り継ぎ客のために、空港発着の無料観光ツアーも。第3ターミナルは2026年開業予定。空港コードはTPE。

成田国際空港 東京都心の東約60km、千葉県成田市にある日本最大の国際空港。第1ターミナルはANA、エバー、シンガポール、ユナイテッド、大韓航空、第2ターミナルはJAL、チャイナエアライン、マレーシア、キャセイパシフィック、第3ターミナルはジェットスター、スプリングジャパンなどLCCが離発着する。空港コードはNRT。空港と都心は鉄道(京成スカイライナー/JR成田エキスプレス)やリムジンバスなどが結ぶ。

取材協力・エバー航空

台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2023年にも8年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。

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