フランスの首都パリには400以上の公園があり、春や夏にはピクニックを楽しむ人で芝生が埋まります。集まるのは人だけではありません。パリで一番広い公園・ヴァンセンヌの森(Bois de Vincennes)にはインドクジャクがいて、4月-7月の求愛シーズンには美しい羽を広げてくれます。近くに住むNorikoさんに案内してもらいました。
パリ東部の森、16世紀から

ヴァンセンヌの森は16世紀からブルボン朝の狩猟場で、19世紀に公園になりました。面積は995ヘクタールで、米ニューヨークのセントラルパークの約3倍ほどです。

毎年4月に開かれるパリマラソンのコースの一部で、私も15年ほど前に走りました。10-20キロの前半なのでまだ元気で、緑が心地よかったのを覚えています。
Norikoさんとはメトロ8番線Porte Dorée(ポルト・ドレ)で待ち合わせました。
「2つ目の島」をめざす

ポルト・ドレ駅に近い入口近くに移動遊園地があり、絶叫が聞こえてきます。ちょうどメーデー(5月1日)で祝日だったので、大勢の人でにぎわっていました。湖にはボートが行き交い、いかにも平和な休日です。
在住16年になるNorikoさんはカレーカフェ「Numéro.(ニュメロ・ポワン)」を開こうと、ケータリングをしながら準備を進めています。「子どもたちが小さいころはよく来たんですが、久しぶりです」と言いながら、愛用のショッピングカートを引き、慣れた様子でどんどん奥へ進んでいきます。

湖には島が2つあって、奥のベルシー島まで行くと空いているのだとか。20分ほど歩いて橋を2つ渡り、島に入りました。確かに「本土」よりずっと静かで、ゆっくりできそうです。「クジャクがいるんですよ」とNorikoさんが言う通り、あちこちにクジャクがたたずんでいました。

わあ、パリで再び君に会えるとは!というのも私が住んだインドでクジャクは国鳥です。知人の庭や公園で出くわし、なじみがあるからです。

こだわり鮭弁当

クジャクが休む木陰に敷き物を広げると、ピクニックの始まりです。Norikoさん手製の鮭弁当が3つ、カートから現れました。すみずみまでこだわりが詰まっていました。
コルシカ産の鮭、自家製ピクルスや春巻き、きんぴら、インゲンのゴマ和え…。ご飯はイタリア産の日本米だそうで、手作りのネギみそも添えられていました。「この鮭おいしい」と、自然に声が出ました。ご飯と食べるのにいい塩梅です。シンプルなネギの塩焼きも味わいが濃かったです。

クジャクのショー付きピクニック

クジャクは人を避けるわけでも近づくわけでもなく、あなたも同じ生き物でしょ?とでも言いたげな距離感です。「カーカー」と鳴いています。威嚇しているのでしょうか。


メスに求愛するため扇子のように羽を広げ始めました。すごい、手を伸ばせば届く距離で見られるなんて。別のメスに乗り換えたのか向きを変えると、優雅な羽の後ろ姿は意外とかわいらしく、見入ってしまいました。目に入るだけでもオス5羽以上が、あちこちで羽を広げていました。


フランスの人たちは珍しそうに写真を撮る人もいますが、しゅっちゅう来ている常連さんは見慣れているのか、無反応です。クジャクたちは人間にお構いなしで、ずっと「求愛ショー」を続けていました。

ミュージアムや映画、百貨店でも

思いがけずクジャクとお近づきになったせいか、その後のパリ滞在ではミュージアムや映画、百貨店でやたらとクジャクが目につくようになりました。フランス人が小さいころ習う「Les Fables de La Fontaine(フォンテーヌの寓話)」にもクジャクは登場します。高級ブランドにも富や美の象徴として描かれていることを改めて再認識しました。
同行のパティシエールは、老舗百貨店サマリテーヌでクジャク柄の帆布バッグを購入していました。同店のフレスコ画がモチーフです。

ヴァンセンヌの森

公園なので、何時間いようともちろん無料です。野鳥好きやランナー、家族連れには絶好のスポットです。公園の中には売店も自販機もないので、食料は調達して持ち込みましょう。トイレは見付けづらいので、駅などで済ませておいたほうがいいでしょう。
住所:Rte de la Pyramide, 75012 Paris, フランス
営業時間:終日







