米ニューヨークにある国連本部のガイド付きツアーに2026年7月、15歳の息子と参加しました。国連の理念や働きについてガイドの説明を聞きながら、展示や会議場を見て回ります。60分のツアーのハイライトは、国連総会が開かれる大議場へ入れたことです。大人29ドル、学生21ドルと有料ですが十分、価値がありました。予約の仕方からセキュリティ登録、ツアーの流れを紹介します。(1ドル≒160円、2026年8月現在)
国連本部ガイドツアーの予約方法と料金

予約は公式サイトの「今すぐ予約(BOOK NOW)」のボタンから始めました。「現地体験(In-Person Experience)→ガイドツアー(Guided Tour)」と進むと、国連の公用語6カ国に加えて手話、子ども向け、女性にフォーカスしたツアーなど選べます。
日本語のツアーは「他の言語ガイドツアー(Guided Tour – Other Languages)」を選んでカレンダーの日付をクリックすると、日本語(Japanese)が現れます。週に1~2回は開催があるようです。英語に比べると少なく、私たちの日程とはあわなかったので英語(Guided Tour -English)へ進み、希望の日時を選びました。

支払いには手数料3ドルがかかり、2人で53ドルでした。キャンセルはできません。
事前オンライン登録と注意点

ツアー予約とは別に、オンラインでの事前セキュリティ登録も必要です。届いたメールの「ここをクリック(CLICK HERE)」から飛び、オンラインで代表者のパスポートと顔写真の登録をします。15歳は名前と生年月日の記入のみでOKでした。

ツアー当日の流れ

午前9時45分からの回だったので午前9時前には到着、本部の向かいにあるビジター・チェックインオフィスの列に並びました。参加者それぞれの身分証明書(パスポート)原本が必要です。18歳未満だけでは入場できません。水を含め飲み物や食品は持ち込みできません。

事前登録していたので私たちはすぐ終わり、ネームプレートを受け取りました。「返す必要はありません。お土産に持って帰ってね」と言われました。その場で顔写真の撮影を求められていたグループもありました。

国連本部は国際領土!見学スタート

向かいの本部エントランスから入館し、ビジターセンターのカウンターで名前を告げました。

ロビーで待っていると呼びかけがあり、ツアーが始まりました。原則として写真撮影はできますが、動画はNGと説明されました。


30人ぐらいの参加者が2つのグループに別れました。私たちはカーボ・ベルデ出身のジェルーザ・ブラス(Gerusa Braz)さんがガイドでした。ちょうどサッカーのFIFAワールドカップが終わったばかりだったので、彼女が出身を話したとたん、初出場で大健闘した代表をたたえるように「ワールドカップ!」と参加者から声が挙がりました。

まず国連についての概略について説明がありました。本部は地上39階建てで、約6,000人のスタッフが勤務しています。土地は米国ではなく、加盟国が共同で所有する「国際領土」です。 国連の加盟国は現在、193カ国です。193カ国の旗が毎日午前8時から午後4時まで掲揚されますが、訪れた日は天候が悪く、掲げられていませんでした。ちょっと残念でした。
独自の警備員や消防隊、医療サービスがあり、切手を発行しています。

本部には加盟国からの贈り物や工芸品が展示されています。 「日本の平和の鐘は、60カ国のコインを溶かして一つの鐘にした、団結と平和の象徴です」とジェルーザさんは説明しました。
信託統治理事会と経済社会理事会の議場「通り抜け」


実際に会議中の2つの議場にも入りました。「信託統治理事会」は現在、活動していませんが、会議場として活用されていて、「国際道路安全(Global Road Safety)」ハイレベル全体会合の傍聴席を通り抜けました。緊張感がありました。


もうひとつはSDGs(持続可能な開発目標)を担当する経済社会理事会(ECOSOC)の議場です。入口にはロゴがありました。15歳は「本物の会議に入れるなんてすごい」と驚いていました。
世界の軍事費・PKO・地雷


国連の平和維持活動(PKO)は現在、世界中で42の平和維持・特別ミッションが展開されているそうです。世界地図にある丸い印は警察官や兵士を含む平和維持活動を、四角い印は主に民間人によるミッションを表しています。 「戦争が終わっても武器が残ることは大きな問題です。例えば地雷はたった3ドルでつくれますが、軍隊が去った後も置き去りにされ、何十年も民間人を傷つけます」。実際の地雷や、除去のための防護服を着たマネキンの前で聞くと真に迫ります。



1948年に採択された世界人権宣言は30条項からなり、表現の自由や生存権、労働や結婚の自由など、人間が生まれながらに持つ権利を定めています 。ジェルーザさんは「ただし」と続けました。 「これは法的拘束力のない勧告です。実際に人権を守るシステムをつくるのは、各国の責任です」。


軍事費を示す掲示板には、刻々と増える数字のデジタル表示がありました。きょう午前0時から現時点までに世界で使われた軍事費の総額で、すでに57億ドル以上でした。「驚くべきことですが、その一方で、国連の年間予算は約70億ドル程度に過ぎません。国連は加盟国の分担金で賄われていますが、支払いが滞ると国連は活動できなくなってしまいます。予算の約70%は人道支援に使われているため、資金不足は深刻な問題です」。
広島・長崎の原爆についても語られました。

「1945年の広島と長崎での出来事を振り返ると、一瞬にして20万人以上もの命が奪われました。その後も放射線の影響で苦しむ人々が何年も続いたという事実は、決して忘れてはいけない悲劇です」「こうした悲劇を二度と繰り返さないために、ヒバクシャと呼ばれる方々が世界中でその恐ろしさを伝えてくれています。どの国も経験すべきではないという彼らのメッセージは、本当に重いものです」。日本に生まれた私たちは戦後81年たった今、真摯に向き合えているだろうか、と思わされました。
国連総会議場オブザーバー席で記念撮影

国連総会議場は「すべての国が平等」という点が最大の特徴です。国の大きさや経済力に関係なく、すべての国が1票を持っていて、重要な決定には3分の2以上の賛成が必要です。128カ国が合意しないと決議が通らない仕組みになっています。毎年9月後半には「ハイレベル・ウィーク」といって、世界中の大統領や首脳が一堂に会します。マンハッタンの半分が封鎖されるほど厳重な警備体制になります。

議場には通訳ブースがあり、ヘッドセットを使えば自分の分かる言語でリアルタイムに話を聞けます。 オブザーバー席に座ることができました。どの参加者もうれしそうに議場を背景に写真を撮っていて、私もバングラデシュから来たという親子の撮影役をかって出ました。

「国連は完ぺきな組織ではありませんが、世界中の国々が一箇所に集まって、共通の課題を解決しようと努力できる唯一の場所です。だからこそ国連がある限り、世界をよりよく変えていけるという希望がある、ということです」。ジェルーザさんは締めくくりました。ちょっと時間をオーバー、75分ほどで解散になりました。


15歳は「3つも会議場に入れるなんて、オカーサン、すごいことだよ!一晩でこれだけのお金が戦争に使われているということが分かるとか、展示も工夫があった。理解してもらわないとお金も出ないし、説明を大切にしているな、と思った」と話しました。

興奮のあまり?ツアーが終わってから、ミッドタウンの高層ビルがよく見える庭で側転をしていました。
United Nations Headquarters(国連本部)
住所:801 1st Ave, New York, NY 10017 アメリカ合衆国
ツアー時間:9:45-16:30(日によって変動、土日休)
参加料:大人29ドル、学生とシニア(13歳以上で学生証が必要、60歳以上)21ドル、子ども(5-12歳)18ドル
公式サイト
(取材協力:エバー航空)












