【ラトビア】ガウヤ国立公園ハイキング。バルトの森と4億年前の地球を体感

【ラトビア】バルトの森トレイル。4億年前の命、地球を体感
ⒸPen&Voyage
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バルト三国の中央に位置する森の国ラトビアを2026年6月、旅しました。中世から700年以上も列強に支配されながら、独自の暮らしと文化を紡いできました。首都リーガだけでなく田舎に足を伸ばせば、ギュッと心をつかまれます。美しい渓谷で知られるガウヤ国立公園をガイドの案内で歩き、地球を体感しました。(1ユーロ≒184円、2026年6月現在)

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ガウヤ国立公園とは

ガウヤ川の支流・アマタ川ⒸPen&Voyage
ガウヤ川の支流・アマタ川ⒸPen&Voyage

ガウヤ国立公園(Gauja National Park)はラトビア最大の国立公園です。面積は917.86 km²で、東京23区の約1.5倍あります。手つかずの自然が人気で、ハイキングやカヌー、冬にはスキーと1年中、楽しめます。ラトビアなど北欧では「森はみんなのもの」という考え方が根付いていて、他人の土地でも原則として入ってよく、キノコやベリーを摘むことが認められています。

シラカバやトウヒなど自生林が広がるⒸPen&Voyage
シラカバやトウヒなど自生林が広がるⒸPen&Voyage

Pen&Voyageで紹介したラトビア式サウナ「ピルツ」の施設「ズィエドレヤス(Ziedlejas)」や、ソビエト地下壕ミシュラン・グリーンスターのレストランもガウヤ国立公園の中にあります。

ガウヤ国立公園のネイチャーガイドを務めるローランドさんⒸPen&Voyage
ガウヤ国立公園のネイチャーガイドを務めるローランドさんⒸPen&Voyage

取材で「点」を訪ね、とうとうハイキングできることにワクワクしていました。ガイドのローランドさんと、公園内にあるカルラミュイザ・カントリー・ホテルで待ち合わせて出発しました。彼は政府機関で環境保護や政策に関わっていましたが2年前に独立、ネイチャーガイドやコンサルタントとして活動しています。

15m以上の木々に囲まれたトレイルを歩くⒸPen&Voyage
高さ15m以上の木々に囲まれたトレイルを歩くⒸPen&Voyage

「バルトの森トレイル」2140km

木に記されたバルト・フォレスト・トレイルのマークⒸPen&Voyage
木に記されたバルト・フォレスト・トレイルのマークⒸPen&Voyage

ガウヤ川の支流であるアマタ(Amata)川沿いのハイキングルート「バルト・フォレスト・トレイル」を歩き始めました。バルト三国をまたいで全長2140kmにも及びます。オランダのアムステルダム近郊から始まり、ドイツやポーランドをへてエストニアまで続くヨーロッパ長距離ルート「E11トレイル」の一部でもあります。

新緑の森に囲まれるアマタ川と、奥にそびえる砂岩の崖ⒸPen&Voyage
新緑の森に囲まれるアマタ川と、奥にそびえる砂岩の崖ⒸPen&Voyage

「川は春、雪解け水があふれてカヌー乗りの聖地となります」。「第5の季節」とも呼ばれ、水没した木々をカヌーで通り抜けるのはダイナミックです。いまは水量は減り、静かに流れていました。午前中に雨が降り、足元は少し湿っています。

地層がむき出しになった崖とアマタ川の流れⒸPen&Voyage
地層がむき出しになった崖とアマタ川の流れⒸPen&Voyage

あちこちで立ち止まって、木々や地形について解説が入ります。むき出しの地層が見える崖に触れます。「砂岩です。爪でひっかくと、少し削れるでしょう?とても柔らかい石です。この砂岩が生まれたのは、今から約4億年前、デボン紀と呼ばれる時代のことです」。

ローランドさんがアマタ川の地質(デボン紀)について詳しく解説してくれたⒸPen&Voyage
ローランドさんが地質時代の年表を示しながら、アマタ川の地質(デボン紀)について解説してくれたⒸPen&Voyage

ラトビアの地は当時、赤道付近の浅い海の下にありました。山々から流れ出た砂が海に堆積し、長い年月をかけてこの地層が作られたのです。大陸は移動し、地球の姿は劇的に変わりました。

デボン紀の大陸図を使い、当時の地球を解説ⒸPen&Voyage
デボン紀の大陸図を使い、当時の地球を解説ⒸPen&Voyage
「分裂前」と「分裂後」の大陸図を手に、当時の地球の様子を解説してくれるローランドさん ⒸPen&Voyage
「分裂前」と「分裂後」の大陸図ⒸPen&Voyage

化石ハンティング

アマタ川の崖(地層)からは、約4億年前の魚類や動植物の貴重な化石が見つかるⒸPen&Voyage
アマタ川の崖(地層)からは、約4億年前の魚類や動植物の貴重な化石が見つかるⒸPen&Voyage

ローランドさんは化石ハンティングのグループを主宰しています。バインダーにはさんだ資料を示しながら説明します。化石はデボン紀の粘土層や砂岩層の中に埋まっています。見せてくれたのは「鎧魚(よろいざかな)」です。学名をAsterolepis ornataといいます。その名の通り、全身が非常に硬い皮膚で覆われていた魚です。

デボン紀の魚類化石 ⒸPen&Voyage
デボン紀の魚類化石 ⒸPen&Voyage

ハンティングするには水の中や川岸の砂地などを注意深く観察します。「最初はただの石ころに見えるかもしれませんが、目を凝らしていると、太古の生命の痕跡に出会える。何億年という途方もない時間の流れの中で私たちは今、ほんの一瞬の時間を共有しています」。4億年前の生命のかけらが、壮大な進化を物語ります。

枯れた木々も

苔むした倒木ⒸPen&Voyage
苔むした倒木ⒸPen&Voyage

美しい景観ですが、影の面も見て取れます。マツのような木々がまっすぐ伸びていますが、枯れているのが目につきます。常緑針葉樹のドイツトウヒが「キクイムシ」による被害にあっています。暑く乾燥した夏が続くと木々は弱り、キクイムシの大量発生を招きます。

倒木が重なり合う渓流 ⒸPen&Voyage
倒木が重なり合う渓流 ⒸPen&Voyage

かつて農業が盛んだった土地がソ連時代以降に放置され、自然に森に戻っています。草地が失われると、そこで育つハーブなども消えてしまいます。「伝統的な草刈りの習慣を維持することは、生物の多様性を守るために不可欠です。自然は放っておけばよいというものではありません。人間がどう関わり、どう管理するかが、この風景の未来を決めるのです」とローランドさんは話しました。

トレイルをふさぐように倒れた木ⒸPen&Voyage
トレイルをふさぐように倒れた木ⒸPen&Voyage

森と五感で向き合う

美しい緑の広場にある木造小屋ⒸPen&Voyage
美しい緑の広場にある木造小屋ⒸPen&Voyage

秋になればキノコ狩りです。雨が降れば一気に顔を出しますが、乾燥した秋には全く見つかりません。釣りも人気です。秋にはサケが産卵のために川を遡上してきますが、この時期のサケ釣りは禁止されています。夏にはカヌーやカヤック、冬はクロスカントリースキーがさかんです。「何十億年という地球の歴史と、私たちのささやかな日常の両方を感じながら、美しいガウヤの森と五感で向き合います。それが、この場所の本当の楽しみ方です」。

森を抜けると草原が広がったⒸPen&Voyage
森を抜けると草原が広がったⒸPen&Voyage

2時間近く歩いた終着点は「ズヴァルテスの岩(Zvārtes iezis)」でした。ビジターセンターがあり、草原が広がっていて、岩を拠点にハイキングやピクニックが楽しめます。

デボン紀の赤茶色い砂岩がむき出しになった、大迫力の「ズヴァルテスの岩 ⒸPen&Voyage
デボン紀の赤茶色い砂岩がむき出しになった「ズヴァルテスの岩」 ⒸPen&Voyage

地球の歴史や太古の生命のロマンにもふれ、深い時間でした。森こそラトビアそのものと感じ入りました。

ハイキングの終わりに広がる草原ⒸPen&Voyage
ハイキングの終わりに広がる草原ⒸPen&Voyage

Zvārtes iezis(ズヴァルテスの岩)

住所:Zvārtes līcis, Drabešu pagasts, Cēsu novads, LV-4139 ラトビア
公式Instagram

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