バルト三国の中央に位置する森の国ラトビアを2026年6月、旅しました。中世から700年以上も列強に支配されながら、独自の暮らしと文化を紡いできました。この記事ではハーブティーブランドとして急成長する「Plūkt(プルクト)」を紹介します。ワークショップではハーブにまつわるお話と試飲、自作のブレンドが楽しめます。(1ユーロ≒184円、2026年6月現在)
21歳で起業
「Plūkt」は英語で「Plucked」にあたるラトビア語で、「摘み取る」の意味です。プルクトCEOのMāra(マーラ)さんが2018年、21歳の若さで起業しました。「北欧ハーブティー」として昔の知恵をアップデート、サステナビリティを重んじる姿勢が高く評価され、優れたスタートアップとして国内外で表彰されています。創業8年にして生産の7割を世界24カ国に輸出しています。
ワークショップはマーラさんの母リーガ(Liga)さんと父Juris(ユリス)さんが講師として話してくれました。

「単にお茶を売るわけでない」
ユリスさんは話しました。「私たちは家族経営の小さな会社ですが、単にお茶を売るのではなく、北欧のお茶の文化を再生させることがミッションです」。

製品は庭で育てるカモミールを除き、すべて野生のハーブです。日陰で風通しの良い場所を選び、ゆっくり自然乾燥させます。ティーバッグは脱プラスチックを志し、デンプン由来の繊維を使っています。「U」の上にある3つの点は「水」を、Uは「ティーカップ」を表現しているそうです。
「北欧のお茶文化再生のため、ハーブからどのようにお茶を作り、どうやってそれを飲み、どう生活に取り入れているか見せることはとても大切なことです。例えば日本にはとても古くて力強いお茶の文化がありますよね。それと同じように北欧・バルト地域にも、古くから伝わる知恵や、ティー文化が息づいているんです」。
「ビタミン爆弾」のハーブ試飲

ハーブの風味と栄養を損なわないために「80度から90度のお湯で淹れるのがベスト」と話します。抽出は3-5分、最大でも15分程度です。お勧めは栄養や風味が最大限に保てる水出しです。ボトルにティーバッグを入れておけば、水を足して何度も楽しめます。「もちろん少しずつ薄くなりますが、それでもおいしいです」。

リーガさんとユリスさんの解説を聞きながら5-6種類いただきました。ハーブに囲まれ、ぜいたくな時間です。

All Summer(ベリーのティー): ブラックカラントやヤナギランが入っています。とてもフルーティーでした。

ネトル(イラクサ):「栄養豊富で、まるでビタミン爆弾なんですよ」。妊婦によく飲まれ、鉄分を多く含みます。香りはあまりしませんでした。
プリムローズ:雪解けのころ咲く花で、肝臓や肺によいとされています。甘い香りです。

ワイルドラズベリー:ラトビアでは昔から、風邪に効くとされています。葉がない冬は枝を細かく切って煮出します。15分ほど煮出すと赤くなり、ラズベリーの香りが楽しめます。

レディースマントル:ニュートラルな味なので、ブレンドのベースに最適です。利尿作用があり、体を冷やす効果もあるそうです。
コンフリー:この植物には辛いストーリーがあります。ユリスさんは話しました。「皆さんは知らないかもしれませんね。旧ソ連の時代、人々がシベリアへ強制的に送られました。彼らは寒さと飢え、過酷な労働という状況に置かれていましたが、この植物が人々を助けてくれたんです。彼らはこの植物が食べられることを知っていた。だから、これを食べて多くの人が生き延びました」。
自家製ブレンドに挑戦

味わったら、オリジナルブレンドに挑戦しました。ずらり並んだ15種類以上のハーブにワクワクします。
「ブレンドは多くの種類にせず、3~5種類にすると、それぞれのハーブの良さを引き出しますよ」。鼻を近づけて香りをかぎます。どんな味にしたいか、どんな目的で飲みたいかなど、テーマを決めるのがコツです。私はヴァルミエラの農場「LAUX」で飲んだフレッシュなレディースマントルがおいしかったので、それを中心にしました。

ユニークな個性、世界が評価

5カ国でビジネスを学んだマーラさんは当初から国際展開をめざし、現在では24カ国に生産量の7割を輸出しています。2025年大阪・関西万博でも披露されました。
人気の理由について「韓国、南アフリカ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、人々にとって少し異なる味であり、何か新しいものだからなのではないでしょうか」とユリスさんは話しました。
プルクトのお茶は首都リーガのスーパーや百貨店、免税店で買えます。日本では東京・自由が丘「Riga Collection」などで購入できます。
Plūkt(プルクト)
住所:Saulesseta, Prauliena, Madona county, LV-4825, Latvia
ワークショップ:1人12-15ユーロ(6人以上)
公式サイト
ラトビア バルト三国の中央に位置する。人口180万人。面積は約6.5万km²で、九州と四国を足したぐらい。国土の半分が森林。中世からドイツやポーランド、スウェーデン、ロシアなどの支配を受け、20世紀には独ソに占領された。1991年にソ連から独立を回復。公用語はラトビア語。通貨はユーロ。
「バルト海の真珠」と呼ばれる首都リーガは13世紀からハンザ同盟に加盟し、バルト海交易の拠点として栄えた。ドイツ商人らの営みを今に伝える街並みは「リーガ歴史地区」として1997年、ユネスコ世界遺産に登録された。北緯57度はモスクワや米アラスカ州南部と同程度。人口は60万人ほどで、バルト三国では最大。
(取材協力:ラトビア投資開発公社<LIAA>観光部、フィンエアー)







