エバー航空を利用して台北経由で欧州へ。今回は復路で、ミラノ・マルペンサ空港から台北・桃園(タォユェン)空港へのフライトをレポートします。ロイヤルローレルクラス(ビジネスクラス)で、快適さはもちろんエンターテインメント性も高く、「8年連続5つ星」のおもてなしを実感しました。(情報は2024年3月現在)
搭乗便(2024年3月5日)
BR096 ミラノ発(ターミナル1)11:00⇒台北・桃園(ターミナル2)06:20+1日
Boeing 787-9
ミラノ=台北は週4就航
台北・桃園空港(TPE)からミラノ・マルペンサ空港(MXP)へは週4日、直行便が飛んでいます。ミラノからの戻りは通常、偏西風に乗って往路より1~2時間ほど短くなります。
便名 | スケジュール | 運航 | 所要時間 |
---|---|---|---|
BR95 | 台北(TPE)23:25⇒ミラノ(MXP)07:40(+1日) | 月・火・木・土 | 14h15m |
BR96 | ミラノ(MXP)11:15⇒台北(TPE)06:05(+1日) | 火・水・金・日 | 12h50m |
優先搭乗させていただいて機内に入ると、にこやかな乗務員に迎えられました。「何か飲まれますか?」と訊かれたので炭酸水を頼みました。フランス製ヴァローナのチョコが、上質な旅の始まりを感じさせます。
「目覚めのドリンクに氷は入れますか?」「朝食は召し上がりますか?寝ていたら起こしてもいいですか?」など、サービスについて訊かれました。大切にされている感じが伝わってきます。
まずはアメニティーや椅子の操作を確認しました。18インチのHDタッチスクリーンモニターに、雑音を減らすノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンです。
羽根布団?と思うようなふかふかの布団(もはやブランケットではない)と枕をセットしていると、乗務員から巾着袋を渡されました。何だろう。開けるとパーカーとパンツが現れました。気鋭のファッションブランド「ジェイソン・ウー」のリラックスウェアでした。ジェイソン・ウーは台湾系カナダ人で、ミシェル・オバマ元米大統領夫人が夫の大統領就任式で着たドレスを手がけたデザイナーとして知られています。パジャマはしっとりとした肌ざわりで、やさしい着心地は大評判なのだとか。確かになかなかないやわらかさです(日本に帰っても愛用しています)。パジャマが提供されるのは珍しく、ファーストクラスのみが主流なので感動しました。エバー航空のグリーンと布団といい、パジャマといい「心地よさ」を追求する姿勢がうかがえます。
往路はPen&Sports編集長・原田がロイヤルローレルクラスに搭乗、パジャマを着ていたらしいのですが、あまりになじんでいてエバー航空のプレゼントとは気づきませんでした。
ミラノ名物が機上でいただけるとは
スパイ仕立ての機内安全ビデオを観たらちょうどお昼どき、ランチのスタートです。2回目のウェルカムドリンクのような食前酒は、せっかくの機会なのでシャンパーニュに。1856年創業の老舗メゾン「デュヴァル=ルロワ」を注いでもらいました。熟した果実の香りと細やかな泡に、早くもいい気分になります。
一緒に出されたアミューズブッシュ(突き出し)は、モッツァレラ、トマトとシュー・サレ(塩味のシュー)でした。イタリアらしい色合いで、バジルが効いています。
前菜はサーモン、メーンはミラノ名物オッソ・ブーコ
前菜はアボカドとサーモンのタルタル仕立てです。とろけるような味わいがたまりません。パンは温かいフォカッチャがおいしくて、もうイタリアを離れてしまうと思うと、勧められるまままた1個…と手が伸びました。アスパラガスのスープは、下にアスパラガスが潜んでいました。春の味ですね。「お皿、空っぽでしたか?」と思われるほど、フォカッチャできれいにぬぐっていただきました。
メーンは三択ありましたが、迷わずイタリア名物オッソ・ブーコ(仔牛すね肉の煮込み)にしました。ミラノの郷土料理ですが、現地では食べ損ねていたからです。やわらかい肉がほどけるようで、骨の中の骨髄までしっかり味わいました。オッソ・ブーコにつきもののミラノ風リゾットも、サフランが上品に香って大満足です。
ゴトゴト…デザートワゴンあらわる
お腹いっぱいになり、コーヒーを飲んでいたら「ゴトゴト…」と、ワゴンが近づく音がしました。何だろうと思ったら、チーズとデザートワゴンでした。え、ここは星つきのフレンチレストランですか?うっかり錯覚しそうです。たっぷりのチーズにみずみずしいカットフルーツ、ケーキにアイスクリームです。ケーキは「ナポリ風リコッタチーズケーキ」で、真剣に迷いました。「右から左まで全部いただくわ~」と言いたかったのですが結局、胃袋と相談してアイスクリームにしました。デザートのワゴンサービスは、ビジネスクラスではなかなかありません。幸せ過ぎました。
食事が終わってもイタリア時間ではまだ午後3時ごろ、眠くはないのですが台湾時間では夜中です。乗務員がやってきてベッドメークならぬシートメークをしてくれるのも新鮮でした。ビジネスクラスには何社か乗ったことがありますが、これは初めてです。さらに寝心地がよくなるようにとの配慮ですね。目的地に合わせて照明が落とされました。目が覚めたのですが、さりげなくスナックのかごを差し出してくれました。わぁ、うれしい。ウォーカーのショートブレッドやゴマあられなどをいただきました。
フルーツたっぷり朝食
ぐっすり眠り、到着はほぼ定刻でした。台湾時間の午前4時過ぎ、朝食の時間です。「おはようございます」の声かけとともにウェイクアップドリンク、おしぼり、カカオ85%のチョコが席に置かれました。目が覚めそう!高濃度のチョコ、小粋です。
朝食は中華風か西洋風の二択で、後者を選びました。オムレツにクリスピーなプロシュートハムが添えられていました。クロワッサンもマフィンもしっかりいただきました。
12時間余りが本当に早く感じました。パジャマの提供やデザートのワゴンサービスなどは、他社のファーストクラス並みでしょう。クルーもフレンドリーで、ほどよい距離感が快適そのものでした。いつもあたたかく迎えてくれる、台湾の友人たちを思い出させるようなもてなしでした。
ミラノ~台北ロイヤルローレルクラスのサービス
シャンパーニュ/白ワイン(仏ボルドー産/仏アルザス産)/赤ワイン(仏ローヌ産/豪州産)/酒精強化ワイン(Fortified wine)/カクテル12種類/モクテル2種類/スピリッツ7種類/ビール4種類(金牌/バックスキン/ハイネケン/キリン)/ソフトドリンク/紅茶(TWG/トワイニング)/中国茶(王徳傳=ワン・デ・チュアン=)4種類/ハーブティー3種類/日本茶3種類
パジャマ(M/L)
アミューズブッシュ(つきだし)/パン/オードブル/スープ/サラダ/メーン(3種類からチョイス)/デザートワゴン/コーヒーかティー
広東風チャーハン、モッツァレラのラヴィオリ、プラントベースミートのバーガー、インスタントヌードル、ホットチョコレートとクッキー
キャロット&フルーツジュース/オートミール飲料/オレンジジュース/アップルジュース/コーヒー/紅茶
・中華粥/目玉焼き/サイドディッシュ(中華風肉団子)/フルーツ
・フルーツ/パン/フランス産バター/ヨーグルト/ミューズリー/オムレツか甘いデニッシュ
ミラノ・マルペンサ[Malpensa]空港 ミラノの北東約50kmにある北イタリア最大の国際空港。メーンは第1ターミナルで、エバー、ルフトハンザ、エールフランス、エアチャイナ、エミレーツなどほとんどの国際線が離発着する。第2ターミナルは主にイージージェットが利用。日本からの直行便はない。空港コードはMXP。空港とミラノ中心部は、鉄道(マルペンサ・エクスプレス)とリムジンバスが結ぶ。
取材協力・エバー航空
台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2024年にも9年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。