台湾経由で欧州へ。今回は、成田空港第1ターミナル南ウイングにあるユナイテッド航空(UA)のラウンジ「ユナイテッドクラブ」をレビューします。ユナイテッドクラブは、アジアでは成田と香港にしかない希少なラウンジ。航空連合・スターアライアンス加盟社のビジネスクラス以上に搭乗すれば利用できます。同じスターアライアンスのANAラウンジと比べてもサービスやファシリティーではひけをとらないどころか、独自の魅力もありました。670席ある快適な空間を紹介します。
スターアライアンス加盟社のビジネスクラス搭乗者
私が利用した台湾大手・エバー航空は成田に自社ラウンジを持ちませんが、ビジネスクラス(ロイヤルローレルクラス)に搭乗すれば、スターアライアンス加盟のANAラウンジ、もしくはユナイテッドクラブのいずれかを利用できます。
エバー航空のチェックインカウンターではANA地上職員がヘルプしていることが多く、そこで勧められてほとんどの日本人乗客はANAラウンジに流れる傾向にあるようです。今回はあえてユナイテッドクラブを利用してみました。すると、新鮮な発見やたくさんの魅力を知ることができました。
ユナイテッドクラブはスターアライアンス加盟航空会社のファーストクラスかビジネスクラスの国際線フライトの搭乗券があれば入場可能です。また現役の米軍関係者であれば、制服着用か休暇許可書(休暇命令書)を提示することを条件に、このラウンジが利用できるそうです。
アジアに二つだけ、営業は12時間
「ユナイテッド・クラブ」は米国内を中心に世界中に45か所あります。アジアには、成田空港と香港にしかなく、激レアです。670人を収容できる成田空港のラウンジはユナイテッドクラブのなかでも世界最多の座席数と世界最大の広さを誇るラウンジです。
営業時間は午前8時45分から午後8時45分までの12時間。北米便の出発ラッシュとなる昼下がりから夕方の時間は来場のピークですが、それ以外の時間帯は通常空いています。軽食、セルフサービスのバーがあり、高速Wi-Fi、電源完備。シャワー室が13室あります。トイレは清潔ですが温水洗浄便座はありません。
ユナイテッドクラブは吹き抜けのメゾネット構造になっていて、ただでさえ広いのに、驚くべきことに上階にはさらなるスペースがあります。上階エリアは2018年ごろまでは「ユナイテッド・グローバルファーストクラスラウンジ」として利用されていましたが、特別な場合を除き、現在閉鎖されています。
搭乗ゲートと同フロア
ユナイテッド・クラブラウンジの場所をご紹介します。
成田空港第1ターミナルの第3サテライト、31番ゲートのそばにあります。私が利用したエバー航空台北行きBR183便の搭乗ゲート(搭乗時は36番ゲート)にも近く、かなり便利でした。BR197便はこの日、出発が30分遅れたのですが、搭乗ゲートからラウンジが近いので、またすぐに戻って搭乗までの間、ゆったり過ごすことができました。
ANAラウンジが4階にあるのに対し、ユナイテッドクラブは搭乗ゲートと同じフロアの3階なので入りやすく、年配の方や車いすの方もバリアフリーでアクセスできるので便利です。私がラウンジを利用中にも、車いすの方をスタッフが窓際の席に案内していました。目の前に駐機している飛行機や滑走路を見渡せる大きな窓が開放感を演出します。窓際には航空ファンにはたまらない眺望が広がります。
冷やしうどん、カレー2種類、わらび餅まで
ここまでユナイテッドクラブの広さや充実した設備、立地の良さなどをお伝えしてきましたが、このラウンジの最大の魅力は、食事のラインナップとおいしさです。
しかも意外にも和食が充実しています。いなりずしや太巻きもとてもおいしいのですが、筆者の一押しは、氷で冷やしたしこしこの太麺を冷たいお出汁でいただく冷やしうどんです。
輪切りのネギをパラっと乗せてショウガを添えて、いただいた冷たいうどんは歯ごたえがありながらもさっぱりとして最高でした。すぐそばにはこれもまたおいしいわらび餅もありました。
大型の炊飯ジャーには炊きたてのごはんがキラキラしていて、その横にはビーフカレーとチキンカレーがドーンとスタンバイ。スパイスのきいたビーフカレーはごろっとしたお肉がふんだんに入っていて、専門店のような味で満足しました。サラダやフルーツもみずみずしく、色鮮やかなビタミンを補給してなんだかパワーがわいてきます。
パンも豊富で、クロワッサン、パン・オ・ショコラ、ベーグル2種に食パン、バケットがふた付きのケースに並んでいました。
生ビールにワイン、スピリッツ類も豊富
ビールはアサヒスーパードライのビールサーバーが置かれていて、グラスをセットすると15秒で自動的に液体と泡が黄金比で注がれます。冷蔵庫の中にはハイネケンやバドワイザーのボトルビールもありました。シャンパン、ワイン、ウイスキーやスピリッツ類も品ぞろえは豊富でお酒好きなら優雅な時間が楽しめます。ビールやワインのつまみにぴったりのフレッシュな生ハムやモルタデッラハム、チーズもあります。
エバー航空のロイヤルローレルクラス搭乗で利用できるユナイテッド・クラブラウンジは、広い、ゲートに近い、そしておいしいのすべてを満たした最高の空間でした。なじみのANAラウンジとはまた違った魅力が詰まっていて、筆者は再訪決定です。ぜひ皆さんも訪れてみてください。
取材協力・エバー航空
台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2024年にも9年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。