オランダ第2の都市ロッテルダムに2週間ほど滞在しました。2025年11月から12月にかけて、現地で開かれたスポーツの国際大会(ハンドボール女子世界選手権)を取材するためです。取材の合間、街を歩いて驚いたことがあります。それは、これまで日本や他の国々では見たことのない斬新で、先鋭的で、機能的な建築物が街のいたるところにあることです。
港湾都市・ロッテルダムは第二次世界大戦中の1940年、ナチス指導者のアドルフ・ヒトラーの指示でドイツ空軍からの空爆を受けて完全に焼け野原となり、そこから未来を見据えて再開発されました。
ロッテルダムを訪れたのは私自身23年ぶり2度目でしたが、最初に来た時と比べても街並みは刷新され、様変わりしていました。この記事では初めて訪れる方のために、2~3時間あればゆっくり歩いて回れるロッテルダムのランドマーク、絶対に観るべき現代建築を三つご紹介します。
①ロッテルダム中央駅(Rotterdam Centraal Station)

アムステルダムのスキポール国際空港からNS(オランダ鉄道)の直行列車で25分。ロンドン、ブリュッセル、パリ、フランクフルト発着のタリス、ユーロスターなどの国際高速列車も止まるロッテルダムの玄関口がここ、ロッテルダム中央駅(Rotterdam Centraal Station)です。観光客やビジネスマンがこの地に降り立って、まず最初に目にする駅舎こそがロッテルダムを代表する建築アイコンの一つになっています。
正面出入り口のCENTRAAL STATIONの駅名フォントがカッコよく、窓には大きな時計。屋根は太陽光パネルで覆われています。


ロッテルダム中央駅はこの新駅舎ができてまだ10年あまり。2014年に再建、再開されました。大型客船の船首のようにみえる鋭角的な屋根は市街地に向かって真っすぐ伸びていて、未来への方向性と歓迎の意を表しているそうです。角度を変えて見てみると映画で観たあのタイタニック号のようにも見えます。
毎日10万人以上が乗降するロッテルダムのゲートウェイは、この街にきて最初にスマホをかざしたくなるフォトスポットです。
ロッテルダム中央駅(Rotterdam Centraal Station)
住所:Statonplein 1, 3013AJ, Rotterdam
公式サイト:https://mijnstation.nl/en/rotterdam/
②職住サイコロ空間「キューブ・ハウス(Kijk-Kubus)」


ロッテルダム中央駅から2キロ弱。ゆっくり歩いても20分ほどで、電車・地下鉄・トラムでも簡単に行けるブラーク駅(Blaak)近くに、必見のキューブハウス(Kijk-Kubus)があります。
黄色いサイコロのようなキューブ(立方体)が45度傾いて、支柱のような建物の上に積み重なっています。なんとこのサイコロは、実際に人が暮らしている38棟の集合住宅と、企業向けのオフィス型キューブ13棟なのです。
「都会の中に森をつくる」がキューブ・ハウスのコンセプト。そういわれてみれば、木の幹(支柱)の上に、枝葉(キューブ)が茂っているように見えてきます。建築家はアムステルダム出身のピート・プロムで、完成は1984年。築20余年の「物件」です。
集合住宅のうち一つはキューブの内部を見学ができたり、このユニークな建築様式が学べたりする博物館になっています。そして手頃な値段で宿泊できる「ステイ・オーケーホステル」やコーヒーを楽しめる「キューブ・コーヒー」も。住宅の下にはカジノ「Be One」もありました。私は仕事の都合で中には入ることが叶いませんでしたが、ただ見るだけではなく、中に入って体感できるのがいいですね。

キューブ・ハウス(Kijk-Kubus)博物館
住所:Overblaak 70, 3011MH, Rotterdam
開館時間:毎日11時~17時
入館料:大人3ユーロ、65歳以上(シニア)・学生2.5ユーロ、子ども12歳まで1.5ユーロ、4歳以下無料(現金、カード可)
公式サイト:https://www.kubuswoning.nl/en/
③食住アーチ空間「マルクトハル(Markthal)」


キューブハウスからブラーク駅に戻る方向に2~3分ほど歩を進めると、駅を通り過ぎてすぐ、目前にかまぼこ型の巨大ガラス張り建築が見えてきます。その名はマルクトハル(マーケットホール)。ここはひとつ屋根の下で世界各国の食が味わえる巨大フードコートの高級版と、220戸以上のマンションが一体となった建物です。
2014年開業。フードコートには90以上の店舗とレストランが軒を連ねています。選択肢はまさに無限大です。和食レストランSumo、匠ラーメンなどの和食はもちろん、アラブ、南米、北アフリカなどの世界中の味がそろっています。ロッテルダムは60万人超の人口の中に、170ヵ国以上の国籍出身の人々が暮らすダイバーシティ。そのシンボル的施設とも言えます。
オランダ名物のクロケットやサクサクのフライドポテトの香ばしいにおいが鼻をくすぐります。甘いもの好きなら、チュロスやワッフルなどにも目移りするでしょう。チーズ、ワイン、スパイスを扱うデリカテッセンもあるので、土産探しにもこのマルクトハルはぴったりです。
まさに「住む、食べる、楽しめる」一体型施設。私ならここに1日中いても飽きないですね。世界の美食を味わいながら、天井を見上げれば、11,000平方メートルのアートワーク『豊穣の角』に目を奪われます。色彩あふれるここマルクトハルも、ロッテルダムで最も写真に収められる名所の一つになっています。


マルクトハル(Markthal)
住所: Domweg 10, 3011 Rotterdam
営業時間: 10:00~22:00 (スーパー・アルバートハインは8:00~21:00、一部店舗は深夜1時まで営業)
公式サイト:https://markthal.nl/en/







