イタリア中部ウンブリア州の州都ペルージャは、人口17万人の小さな街だ。
紀元前のエトルリア時代からの2千年以上の歴史が息づく、丘の上の美しい街並みで知られ、その街の名は、サッカー元日本代表の中田英寿さんが1998年〜2000年にセンセーショナルな活躍をしたセリエAのチームを通じて日本に広まった。
その街はいま、バレーボール日本代表の石川祐希選手が主力でプレーする欧州ナンバーワンクラブチーム、シル・サーフェティ・ペルージャを通じて「バレーボールの街」として名をはせている。石川選手が2025-26年シーズンにミラノから移籍したのを機に、日本からの観戦、観光客が急増しているペルージャで唯一の五つ星ホテルがシーナ・ブルファニだ。ペルージャ滞在を優雅に、便利に、忘れがたいものにしたいなら、ここに泊まれば間違いない。
地元民も「ワーオ!」という最高級ホテル


私がシーナ・ブルファニに滞在したのはペルージャ✕ミラノのバレーボール・セリエAの取材で訪れた2025年2月のことだ。
ペルージャのチームオーナー、ジーノ・シルチ会長らクラブの全面協力を得て、私が編集長を務めるメディア”Pen&Sports”[ペンスポ]が企画した日本からのツアー客と7日間の旅に同行した。ペルージャのSNS・デジタル担当フランチェスコ・ビアンカラーナから「どこに泊まるの?」と聞かれ、「シーナ・ブルファニ」と答えると「ワーオ!」とまず驚かれた。そう。地元住民も一目置く、最高級ホテルなのだ。
シーナ・ブルファニは1886年創業。2026年で140周年を迎える。丘の上のCentro Storico(チェントロ・ストリコ=歴史的中心地区)のランドマークでもあるこのホテルは、テレビや雑誌の選手インタビューの場所として使われることも多い。
ロビーにはパチパチ薪が燃えて炎が揺らぐ大きな暖炉、レストラン入口前のミーティングスペースには古いグランドピアノ、美しい街を眼下に見下ろす石造りの中庭など、どこを切り取っても絵になるペルージャのシンボル的なホテルだから、取材やロケに使われるのも納得だ。Wifiも完備。スタッフは英語も通じる。日本からの観光客も笑顔で歓迎してくれる。
11月4日広場の噴水(Fontana Maggiore)は徒歩3分


ホテルエントランスを出て左に400メートルも歩けば、3分もしないうちにドゥオーモ(大聖堂)とPallazzo dei Priori(市庁舎と美術館が入るデイ・プリオーリ宮)が見えてくる。そしてすぐにPiazza Ⅳ Novembre(11月4日広場)にたどり着く。13世紀後半に作られたという噴水(Fontana Maggiore)があるこの広場はペルージャを代表するフォトジェニックな観光スポットとして有名だ。イタリアで最も歴史がある国立大学・ペルージャ外国人大学も徒歩圏内だから、学生が噴水近くの階段に座っておしゃべりしているのを滞在中によく見かけた。
欧州チャンピオンズリーグで優勝したペルージャは2025年5月、市政初の女性市長ヴィットリア・フェルディナンディ市長に優勝報告したあと、凱旋セレモニーをおこなった。11月4日広場の噴水を背に優勝カップの写真もSNSで発信、ペルージャの美しい街並みがチームの快挙を引き立てていた。
徒歩圏内にバール、レストランが密集

シーナ・ブルファニは市街地に位置することもあり、近くにはスーパーマーケットやレストランも多く、午前から営業しているBar(バール)やカフェもすぐ見つかる。ホテルにはすばらしいビッフェの朝食がついているが、気分転換に外に出て、朝はカプチーノ、夜はグラッパやビールを楽しんでサッと歩いて帰れるのもうれしい。
外国人経営の日本食レストランも近くにあった。
たいていの地元レストランの営業時間は夜8時ごろから23時半ごろまでで、バレーボールの試合が長引いた場合には食事する場所は限られるが、それでもピザやパニーニなどの軽食を提供するスタンドやエスニック系の一部のレストランは深夜すぎまで営業していたのでご安心を。
イタリアみやげの定番、ペルージャの工場で作られているチョコレートのバッチ(Baci)のショップも街中のいたるところにある。
パラ・バルトンにはミニメトロ、タクシーでも20ユーロ


ペルージャのホームアリーナ、パラ・バルトンにも無人運転の公共交通「ミニメトロ」で簡単にアクセスできるから便利だ。
シーナ・ブルファニホテルから最寄りのPincetto(ピンチェット)駅までは徒歩5分。乗車券は1回1.5ユーロで70分間有効。2025年2月時点ではクレジットカードのタッチ決済でそのまま改札を通ることができた。そこから終点のPian di Massiano(ピアン・ディ・マッシアーノ)駅まで15分ほど。大通りを横切ると目の前にパラ・バルトンが見えてくる。
ただ、やっかいなのは試合後の帰りの足だ。ミニメトロは沿線住民への騒音に配慮して、午後8時台には運行が止まるのだ。一方、バレーボールの試合はもつれると午後9時、10時台になることもある。私がペルージャに滞在していた時にはバスをチャーターしていたが、個人で行く場合にはタクシーを呼ぶ必要があるだろう。それでも時間にして15分ほど、20ユーロもあれば丘の上のシーナ・ブルファニに戻ることができる。
足を伸ばせるバスタブは最高
シーナ・ブルファニのスーペリアルームに宿泊して、朝食のクオリティに、部屋から一望できる眺め、キングサイズベッドの寝心地、行き届いた清掃など、ほぼすべてに満足したが、私が最も癒されたのが、バスルームだった。
イタリアで産出される白大理石ビアンコカラーラ(bianco carrara)製のバス・トイレ共通の空間には足を伸ばせる大きなバスタブが置かれていた。欧米で「お風呂」に浸かれるのは珍しい。宿泊中は1日の終わりにバスタブに熱いお湯をためて肩までつかり、ゆっくり疲れをとることができた。
宿泊客はフィットネスジム、ジャグジー付き室内プール、サウナ、トルコ式風呂を備えたウェルネスクラブも利用できる。
ペルージャのバレーボール観戦時には、旅の価値を爆上げしてくれる五つ星ホテル、シーナ・ブルファニでの宿泊をぜひ検討してみてはどうだろう。
シーナ・ブルファニ [Sina Brufani]
住所:Piazza Italia, 12, 06121 Perugia PG, イタリア
URL:https://www.sinahotels.com/en/h/sina-brufani-perugia/








