イタリア・ミラノ近郊の街モンツァは、バレーボール日本代表の高橋藍選手(22)が所属したチーム名として知った人も多いのではないでしょうか。高橋選手を現地取材した際「お気に入りの場所」を尋ねたところ、「やっぱり…」と教えてくれたのが「モンツァ公園」です。城壁のある公園としてはヨーロッパ最大の公園を実際に歩きました。バレーボール観戦(10月~翌4月)と合わせた「旅のしおり」も紹介します。
高橋選手「自然たっぷり、ぜひ行ってみて」
セリエAのモンツァは2023-2024シーズン、プレーオフ決勝でペルージャに敗れ、準優勝でした。高橋選手はモンツァ移籍1年目のシーズンで、5位から2位への躍進に大きく貢献しました。高橋選手に自身が暮らす街について質問したのは2024年2月のCEVチャレンジカップ決勝戦の後でした。
「モンツァで好きな場所ですか?やっぱりモンツァ公園ですね。めちゃくちゃ大きな公園で、歩くと1日で全部回りきれないぐらいなんですけど、公園のなかにF1のサーキットやゴルフ場、素敵なカフェもあります。自然たっぷりのとてもいい場所です。日本ではなかなか見られないリスもいますよ。ぜひ行ってみてください」。
(下に記事が続きます)
王宮[Villa Reale]はハプスブルク家ゆかり
その翌日、私たちはそのモンツァ公園(Parco di Monza)を実際に訪ねました。アリーナ近くの宿泊先から、公営バス2台を乗り継ぎました。バス停で公園までの行き方を尋ねると、一人の男性が「一緒の方向だから着いてきて!」と案内してくれて助かりました。乗り継ぎのバス停近くのバールで、お礼にエスプレッソを1杯、おごると「いいよ、いいよ」と言いながら、「グラツィエ」と受け取ってくれました。
モンツァ旧市街を抜けた先に、そのモンツァ公園はありました。
公式HPによると1805年、フランスが北イタリア占領時に皇帝ナポレオンの命によって設立され、敷地面積は約720ヘクタールもあるそうです。ニューヨーク・セントラルパーク(約341ヘクタール)の2倍、東京の代々木公園(約54ヘクタール)の13倍といいます。公園内にはランブロ川が流れ、サイクリングロードや数々の建築物、そして毎年9月のイタリアGP(グランプリ)が開催されるサーキットもあります。このため「フェラーリの聖地」の異名もあるとか。
オーストリア・ハプスブルク家ゆかりの王宮(Villa Reale=ヴィッラ・レアーレ)がランドマークになっています。公式HPによると王宮は1777年から1780年にかけて、女帝マリア・テレジアの遺言により、彼女の息子フェルディナンドの夏の別荘として建てられました。設計はミラノ・スカラ座も手がけたジュゼッペ・ピエルマリーニです。客室は700を超え、図書館や宴会場、謁見室もあります。ちなみに最上階は使用人の部屋で、第二次世界大戦中は避難場所として使われたそうです。
訪れた当日は雨。それでも公園内を走るランナーが大勢いました。フィレンツェからバスで生徒たち(中学生ぐらいでしょうか)が見学に訪れていました。王宮前では「記念撮影のカメラのシャッターを押して」と引率の先生に頼まれました。もちろん喜んで!
カフェでビールやドルチェも
美しく開放的な公園で、高橋選手がモンツァに所属していなければ、高橋選手が教えてくれなければ、ここに来ることがなかったかもしれない。そう思うと、改めて「出会い」や「めぐりあわせ」の妙を感じます。ぜひ、北イタリアを旅する際は、モンツァ公園を訪れてみてください。王宮を見学するのは有料ですが1階にはカフェがあって、ここは無料で入れます。コーヒーやビール、ドルチェ(甘いもの)も楽しめますよ。
ミラノ中央駅からモンツァ駅へは10分ほどで着くので、ピクニックがてらいかがでしょうか。高橋選手は来季、残念ながらモンツァを離れますが、もちろんバレーボール観戦もお勧めです。セリエAのチケット購入や会場への行き方については、女子日本代表・石川真佑選手の通訳を務めた中山久美子さんの記事「イタリアでバレーボールをリアル観戦しよう!」が詳しいです。
モンツァ[Monza]の概要
イタリア北部ロンバルディア州にある人口12万人の都市。州都ミラノの北東15キロに位置する。モンツァ公園は市の面積の20%を占める。バレーボール・セリエAの男子チーム”Vero Volley Monza”の本拠。ホームアリーナはモンツァにあるオピクアッド(Opiquad Arena)。ミラノ中央駅(Milano Centrale)からは9-11分でモンツァ駅(次の駅)着(2.6ユーロ)。
モンツァ公園[Parco di Monza]の概要
住所:Viale Brianza, snc, 20900 Monza MB, イタリア
公園:7:00-20:30(夏季は~21:30)
王宮:10:00-16:00(最終入場15:00、水木金)、10:30-18:30(最終入場17:30、土日祝)月火休
入場:公園は無料、王宮は10ユーロ(6-26歳と 65歳以上、モンツァ観光パスポート保有者は8ユーロ)
バレーボール・セリエA 世界最高峰とも称されるイタリアの一部リーグ。男子は12チーム、女子は14チームある。レギュラーシーズンは9月末-翌3月で、上位8チームによるプレーオフは3-4月。男子は1位~8位がプレーオフに進出する。リーグ戦のほか、前年の成績で出場権を得た4チームによるスーペルコッパ、レギュラーシーズン前半戦上位8チームによるコッパ・イタリアなどのカップ戦も行われる。試合は土日と水曜にあり、ほぼ夜の開催。スターティングメンバーは試合当日にチームの公式Xなどで発表される。チケットは各チームのHPから購入できる。
モンツァ1泊2日 旅のしおり
Booking.comで予約した短期アパートにチェックイン。アリーナまで徒歩13分。カギの受け渡しに手間取った(メールを失くしたため)が、後はスムーズミラノよりは宿代もお手ごろ。日曜日の試合なら昼のうちにモンツァ公園へ行っても(王宮は月曜休み)
プレー開始は18:30~20:00で、試合時間は2-3時間。20:00スタートだと終了が23:00ごろになる可能性もあるので、アリーナ近くでの宿泊がベター
王宮見学やカフェでお茶・お酒をどうぞ。スーパーでパニーニを買ってピクニックも。日曜日に試合がある場合、王宮は月曜休館なので注意
モンツァ駅からミラノ中央駅までは2.6ユーロ。切符の自販機で購入し2番ホームに。改札はない