台湾経由で欧州へ。私たちはパリ五輪などスポーツ取材のためにエアライン各社を比較・検討した結果、安全や利便性から台湾大手のエバー航空を選びました。今回は、台北・桃園(タォユェン)ーウィーン便のビジネスクラス(ロイヤルローレルクラス)をレポートします。夜間フライトですが10時間以上のフライトはとても快適で、降りるのが惜しいと思うほどでした。(情報は2024年4月現在)
搭乗便(2024年4月9-10日)
BR061 台北・桃園22:30(ターミナル2)⇒バンコク・スワンナプーム01:10着
バンコク・スワンナプーム発02:20⇒⇒ウィーン08:35(時差ー7時間)ターミナル3
いずれもBoeing 787-10
台北=ウィーン:直行が週3、バンコク経由が週4
便名 | スケジュール | 運航 | 所要時間 |
---|---|---|---|
BR65(直行便) | 台北(TPE)23:30⇒ウィーン(VIE)07:00(+1日) | 水・金・日 | 13h30m |
BR61(バンコク経由) | 台北(TPE)22:30⇒バンコク(BKK)01:10,バンコク(BKK)02:20⇒ウィーン(VIE)08:35(+1日) | 月・火・木・土 | 16h05m |
BR66(直行便) | ウィーン(VIE)12:30⇒台北(TPE)06:30(+1日) | 月・木・土 | 12h00m |
BR62(バンコク経由) | ウィーン(VIE)17:45⇒バンコク(BKK)09:25, バンコク(BKK)11:10⇒台北(TPE)16:05(+1日) | 火・水・金・日 | 16h20m |
エバー航空の台北発ウィーン行きは、水・金・日の台北発が直行便、月・火・木・土はバンコク経由になります。便名は61便のまま変わらず、給油のために1時間、機外に出て乗り換えます。中欧に位置するウィーンなので、フライト時間は直行便なら往路は13時間台、復路であれば12時間です。ミュンヘンやパリ、ミラノ便に比べると短くて済みます。今回、搭乗したのは火曜発のバンコク経由便です。
台北からバンコクは3時間半
台北・桃園空港にあるエバー航空ラウンジ”The Star”をギリギリに出て、最終グループで機内に入りました。離陸前におしぼりとウェルカムドリンクが席に運ばれました。そのあと食前酒とメーンディッシュの希望を尋ねられました。朝食の時に寝ていたら起こしたほうがいいですか、それとも眠っていますか?という質問もあります。22:30ごろ、暗闇の台北を離陸しました。台北とバンコクの時差は-1時間なので、3時間40分ほどのフライトになります。
食事はオンラインで事前オーダー可能
離陸して30分ほどで、サービスが始まりました。台湾時間で23時過ぎ、ということは日本時間では日付を回っています。午後7時20分発の福岡ー台北便でも機内食を食べ、ラウンジ「ザ・スター」でも点心やデザートをつまみ…と、飲み食いし過ぎなのですが、せっかくのサービスです。前菜はエビとイカのマリネにタケノコのヴィネグレットサラダです。
メーンディッシュはその場では3種類から、オンライン限定メニューはさらに3種類あり、合計6種類から選べます。私はオンラインで”Braised Beef Shank, Tendon and Tripe in Superior Soya Sauce with Noodles”を選んでいました。牛すね肉、スジ、モツ入りの台湾式牛肉麺です。
熱々が運ばれてきました。八角の香りが濃厚で、力がモリモリ沸いてきました。ただしオンラインだと限定メニューがあって選択肢は増えるのですが、やはり搭乗してから選ぶほうが私には向いていると思いました。
デザートはフルーツと、パッションフルーツのメレンゲタルトです。この酸っぱいタルトは濃い料理のお口直しにもなり、メレンゲの口当たりもやさしく、カフェにいるような気分でした。
午前1時、バンコクに着陸しました。「荷物をすべて持って外に出てください」とのことで、キャリーケースを上の棚から出して飛行機を出ました。
エバー航空61便[台北⇒バンコク]の流れ[ビジネスクラス]
メーンディッシュ、アペリティフ、食事中の飲み物をオーダー。シャンパーニュ/白ワイン(仏ボルドー産/仏アルザス産)/赤ワイン(仏ローヌ産/豪州産)/酒精強化ワイン(Fortified wine)/カクテル11種類/モクテル2種類/スピリッツ7種類/リカー5種類/ビール4種類(金牌/バックスキン/ハイネケン/キリン)/ソフトドリンク/紅茶(TWG/トワイニング)/中国茶(王徳傳=ワン・デ・チュアン=)4種類/ハーブティー3種類/日本茶3種類
パン/オードブル/メーン(鶏飯、カレイのソテー、牛フィレのソテーから選ぶ)/デザートとフルーツ/コーヒーかティー
荷物を持って機外へ
※時間は状況によって前後します
バンコクからウィーンは便名同じ、ゲートは変わる
飛行機を出るとモワーッとした湿度の高い空気に包まれて、バンコクに来たことを実感しました。スワンナプーム空港では、そのまま降りたゲートで待って再び飛行機に戻るのかな、と思ったのですが、61便の搭乗口は「E3」になっていました。機内でも案内があったようですが私は聞き逃していて、念のため空港の案内表示で確認しました。結構離れており、途中で水を買ったのも含めると10分ほどかかりました。
搭乗口は階段を降りた下の階になり、搭乗券とパスポートをみせて下に降りました。
バンコクからウィーンは10時間半
スワンナプーム空港で乗った飛行機は、前とは座席も違っていました。窓際なのがさらにうれしいです。台北ーバンコク間と同じようにウェルカムドリンク、メニューの選択をすると、台湾系デザイナーであるジェイソン・ウーのパジャマが配られました。MとLサイズがあるのでMを選びました。東京・成田ー台北や台北ーバンコク間ではパジャマはなかったので、長距離フライト限定のサービスのようです。旅行中、室内着にしようとアテにしていたので助かりました。午前3時、光があふれるバンコクの夜景を眺めながらテークオフしました。
座席横にある物入れを開けると、エヴィアンのボトルとノイズキャンセリング機能付きのヘッドホン、巾着袋がありました。中を開けるとジョルジオアルマーニと分かって驚きました。中身は歯ブラシ、耳栓、アイマスク、鏡付きのヘアブラシ、スキンケアブランド”MALIN+GOETZ”(マリン&ゴッツ)のリップクリーム、ハンド/ボディローション、フェイスミスト、キーホルダーと小さなポーチまで!旅の間に役立ちそうです。
午前3時、華やかなフルーツカービング
午前3時でも食事が出ました。福岡、台北、バンコクと1時間刻みで時間をさかのぼっているので、体内時間はよく分からないことになっています。日本時間だと午前5時なので、朝食と言えなくはありません。スープはかぼちゃのポタージュで、ガーリックトーストがよくあいました。メーンは3種類から、エビのピリ辛ソースにサフランライス添えを選びました。デザートはたっぷりのフルーツです。タイらしいカービングが美しく、ビタミンを補給しました。
早業ベッドメーキングに感動
食事が終わるとシーツを持ったCAさんが、ベッドメーキングするために来てくれました。横で立って待っているのも通行の妨げになるし、と、お手洗いを撮影しに行きました。1分もかからなかったと思いますが、戻るともうCAさんはおらず、きちんと整えられていてビックリ!私が脱ぎ捨てていたジャージーもきれいにたたまれてパジャマの上に置かれ、コードもきちんと巻かれていました。ホテルでいうところのターンダウンサービスのようです。座席に厚手のシーツをかぶせ、ブランケットもきっちり筒状に整えての早業と気配り、心憎いばかりです。
照明が落とされ、星空のような天井に変わりました。もちろんボタンを操作してフルフラットにすれば、快適なシングルベッドになります。
2時間ほどで目が覚めてしまい、エンターテイメントを楽しむことに。映画「ナポレオン」(2023年)を観ました。18インチ画面はなかなかの迫力で、壮大なシーンが続く大河ドラマに2時間半、見入ってしまいました(帰国後に史実とはかなり異なると知って脱力しました)。
暗闇のなか、息を詰めて画面を凝視している私に「スナックはいかが?」とカゴをみせてくれました。大好きなウォーカーズのショートブレッドとオレンジジュースをいただきました。気分はミニシアターでした。
滋味深い朝食の中華がゆ
到着2時間前、機内の照明がついて明るくなりました。朝食サービスの始まりです。目覚めの温かい黒烏龍茶が体にしみます。台湾のエアラインらしく、お茶は紅茶5種類(TWGとトワインニング)、中国茶3種類(阿里山、黒烏龍、プーアール)、日本茶3種類(山本山の煎茶、京都・柳桜園のほうじ茶、抹茶入り玄米茶)がメニューにありました。
食事は3種類から選べます。鶏肉とアーモンド入りのクレープ・ア・ラ・レーヌ(ホワイトソース包み)にもときめいたのですが、今回は中華粥にしていました。テーブルにのせられたトレーを見て「わあー」と一人、声を挙げました。「小菜」と呼ばれるおかずがたくさん並んでいます。カイラン(野菜)炒め、レンコン、「キューちゃん漬け」のような漬物、ズッキーニ、卵焼きもなつかしいおいしさです。どれもたっぷりおかゆにのせ、レンゲでいただきました。滋味深い味わいです。量が多いと思ったのですがそこはおかゆで、きれいに完食しました。フルーツは夜食同様、タイらしくカービングされていました。
突然青空、カルパティア山脈を抜けて到着
食べ終わるころ突然、夜が明けて青空になりました。そして雪をいただいた山々が見えてきました。アルプス?なわけはないか。どこを飛んでいるんだろう。窓にかじりつきました。
モニターで現在地を見るとルーマニアのブラショフ上空で、窓から見えたのはカルパティア山脈でした。ウィーン空港が近くなると田園地帯で、緑に包まれて到着しました。青い山々と穏やかな緑が旅の始まりにふさわしく、とても晴れやかな気分でした。
エバー航空61便[バンコクからウィーン]の流れ
ウェルカムドリンク、オーダーの確認(台北⇒バンコク同様)
パン/オードブル/スープ/メーン/デザートとフルーツ/コーヒーかティー
鶏肉のパンダンリーフ包み(チリソース添え)、鴨のスモークとチーズ入りパニーニ(サラダ添え)、マッシュルームのパスタ(黒オリーブとトマトソース)、インスタントヌードル、ホットチョコレートとクッキー
・中華粥/卵焼き/小菜/フルーツ
・フルーツ/パン/フランス産バター/ヨーグルト/シリアル/クレープのレーヌ風(チキンソーセージ添え)またはフレンチトースト(トマトと牛ソーセージ添え)
ウィーン空港 ウィーンの南東18キロに位置するオーストリア最大の国際空港。エバー航空が所属するスターアライアンス各社が利用するのは第3ターミナル。日本からの直行便はオーストリア航空が就航。ANAも2024年8月より再開。空港コードはVIE。空港とウィーン中心部は、鉄道(Sバーン/シティエアポートトレイン)やバスが結ぶ。
取材協力・エバー航空
台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2024年にも9年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。