欧州から台北経由で帰国する今回の旅のラストフライトは、エバー航空BR198便だった。台北・桃園(タォユエン)空港を午前9時に出発して成田空港に午後1時(時差プラス1時間)に到着するまでの3時間の旅路である。
搭乗便(2024年4月19日)
BR198 台北・桃園9:00⇒成田13:25(台湾時間との時差+1時間)
Boeing787-10
3時間25分
乗り継ぎで「シャキッ!」
ミュンヘンから桃園空港到着後、エバー航空の地上職員の勧めもあって、当初ブッキングしていたBR184便(午前7時55分台北発)から1便遅らせた。そのおかげで、時間にも気持ちにも少し余裕ができた。ほんの20分ほどだったが、エバー航空のThe Starラウンジにもまた立ち寄ることができた。熱いコーヒー1杯を楽しみ、洗顔、歯磨きなどの身繕いを済ませた。ヨレヨレだった自分を台北で「シャキッ!」と戻せた実感があった。
台北乗り継ぎ1時間、自分をチューニング
2024年2月のイタリアから帰国した際にも感じたが、欧州から日本に帰国する際、この台北での短時間のトランスファー(乗り継ぎ)が旅を締めくくるいいアクセントになる。他社なら欧州から日本への直行便もあるけれど、きっと惰性で寝ていたか、ボーっと時間をやり過ごしていただろう。台北・桃園空港での1時間少々の乗り継ぎは悪くない。異国から日本へ。非日常から日常へ。台北で一旦、自分自身をリセットして、チューニングして、背筋を伸ばして最後の機内に乗り込むことができるのだ。
最後のフライトは様々な旅の思い出が頭を駆け巡る。今回の取材旅行の成果と反省。これまで訪れたことがなかったオーストリア、ハンガリー、ドイツを旅することができた達成感。出会った人から受けた刺激。初めて味わった美食、美酒の余韻。長旅で疲れているはずなのに脳は活性し、今回の旅が自分を成長させてくれた気がして、やる気が満ちてくる。
エバー航空のロイヤルローレルクラスは、そんな自分を包み込むように、そっと癒してくれる極上の空間だ。ウェルカムドリンクに「朝ビール」を頼んでますますいい気分になり、次の旅への渇望も湧いてきて、思いを巡らせる。
巨匠・黄清標シェフ監修の台湾料理
離陸してシートベルトサインが消えると、出発の24時間前までに事前予約していたエバー航空こだわりの機内食の配膳が始まった。プリっとしたエビが添えられたみずみずしいサラダ。高級バターが添えられたカリッと焼きたての全粒粉ハードパンとガーリックトースト。すき焼きのような優しい味のお肉と野菜のメーンディッシュ。これはオンラインでの事前オーダー限定の特別な一品だ。”Created by Chef Ching-Biao, Huang – Braised Pork Belly withPreserved Vegetable Served with Steamed Rice (Golden Quality Award Chishang Organic Rice)”で、シンガポールで活躍する中華料理界の巨匠・黄清標シェフ監修による台湾料理「梅菜扣肉」に、台湾の米どころ・池上のごはん添え。全てがおいしく一気に平らげた。
最後はフレッシュなカットフルーツに、香ばしいホットコーヒー。そしてハーゲンダッツアイスクリーム(クッキー&クリーム)。午前中にハーゲンダッツを食べたことなんて、これまでの人生であっただろうか。
普段なら絶対観ない「夜きみ」を鑑賞
心もお腹も満たされて、着陸まであと2時間少々。目は冴え、気分は高揚している。フルフラットの全長2メートルのベッドになるシートを倒すことはもうしなかった。代わりに18インチの高解像度タッチスクリーンモニター、ノイズキャンセリングヘッドフォンによる最新の機内エンターテイメントシステムで、映画を観た。
劇場ではおそらく絶対に観ないだろうラブストーリー「夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く」を選んだ。最後のフライトは無意識に、「非日常」の延長線上にいたかったのかもしれない。映画は「夜きみ」と略されて若者に人気を博した作品だと帰国後に知った。
マスクが手放せない優等生の「茜」と、不良っぽくて自由に生きる銀髪のクラスメート・「青磁」の、正反対の二人が次第に惹かれ合うストーリー。作品にすぐに引き込まれて、空の銀幕に没頭した。
上映から約2時間。涙目でエンドロールを眺めていると、BR198便は成田上空で着陸態勢へ。映画のラストが旅の終わりを告げる。エバー航空、台北―成田のロイヤルローレルクラスのフライトは、素晴らしい朝食と映画1本をちょうどぴったり、穏やかに楽しめる至福の3時間だった。
台北~成田BR198便の流れ[ロイヤルローレルクラス]
搭乗券に書かれたゾーンごとに搭乗。パスポートと搭乗券を手元に用意。座席に着いたら手荷物を収納。CAさんがあいさつに来てくれるので、メーンディッシュ、アペリティフ、食事中の飲み物をオーダー
機内食、免税品販売についての説明。日本人CAは1人乗務
パン/オードブル/メーン(3種類からチョイス)/デザートとフルーツ/コーヒーかティー
シートベルトを着用。トイレはそれまでに済ませる
スマートフォンをオンにすると、日本時間(+1時間)に自動で変わる(設定による)
※時間は状況によって前後します
成田=台北・桃園スケジュール
便名 | 成田⇒台北・桃園スケジュール | 運航 | 所要時間 |
---|---|---|---|
BR183 | 成田(NRT)13:25⇒台北(TPE)16:05 | 毎日 | 3時間40分 |
BR197 | 成田(NRT)14:25⇒台北(TPE)17:05 | 毎日 | 3時間40分 |
BR195 | 成田(NRT)20:40⇒台北(TPE)23:20 | 毎日 | 3時間40分 |
便名 | 台北・桃園⇒成田スケジュール | 運航 | 所要時間 |
---|---|---|---|
BR184 | 台北(TPE)07:55⇒成田(NRT)12:25 | 毎日 | 3時間30分 |
BR198 | 台北(TPE)09:00⇒成田(NRT)13:25 | 毎日 | 3時間25分 |
BR196 | 台北(TPE)15:20⇒成田(NRT)19:40 | 毎日 | 3時間20分 |
台湾桃園国際空港 台北の西40㎞、桃園(Taoyuan、タォユェン)にある台湾最大の国際空港。第1ターミナルはピーチ、ジェットスター、タイガーエア台湾、スターラックスなど、第2ターミナルはエバー、JAL、ANA、スターフライヤーなどが離発着する。7~24時間の乗り継ぎ客のために、空港発着の無料観光ツアーも。第3ターミナルは2026年開業予定。空港コードはTPE。
成田国際空港 東京都心の東約60km、千葉県成田市にある日本最大の国際空港。第1ターミナルはANA、エバー、シンガポール、ユナイテッド、大韓航空、第2ターミナルはJAL、チャイナエアライン、マレーシア、キャセイパシフィック、第3ターミナルはジェットスター、スプリングジャパンなどLCCが離発着する。空港コードはNRT。空港と都心は鉄道(京成スカイライナー/JR成田エキスプレス)やリムジンバスなどが結ぶ。
取材協力・エバー航空
台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2024年にも9年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。