2024年8月25日深夜23時過ぎの台湾桃園国際空港第2ターミナル。C4ゲート付近はパリ・シャルルドゴール(CDG)行きのエバー航空BR87便の搭乗を待つ約500人の熱気でムンムンしていた。
搭乗便(2024年7月25日)
BR87 台北・桃園23:30⇒パリ・シャルルドゴール07:55+1(時差-7時間) ターミナル1
Boeing777-300ER
14時間25分
チーム・チャイニーズ台北スタッフと同乗
このターミナルからエバー航空で欧州へ飛び立つのは2024年に入って3度目。欧州でのスポーツ取材のために2月にミラノ、4月にウィーンに飛んで以来となるのだが、静かに搭乗案内を待っていた過去2回の時とは違う「特別なフライト」を待つ高揚感を感じていた。
客層もだいぶ違う。欧州に帰る人よりも、欧州に向かう人が圧倒的に多く見えた。しかも、笑顔で、キラキラしたまなざしで。なぜか。世界中が注目する4年に一度の祭典、パリ五輪の開会式の当日(7月26日)朝にパリに降り立つフライトだったからだ。
搭乗開始のアナウンスと同時に「Team Chinese Taipei」の文字がプリントされたジャケットを着た集団が次々と機内に乗り込んで行った。私が搭乗前に話しかけて確認できただけでも、ゴルフの分析・サポートチーム、バドミントンラケットのガットを張るYONEXのストリンギングチーム、医療サポートチームもいた。16競技に60選手が出場したチャイニーズタイペイ代表を支える人たちが大勢パリに向かう便に乗り合わせたのだ。(下に記事が続きます)
限定マカロンで「選手応援して」
そんなパリ五輪に向かう人々を、エバー航空も後押しした。離陸してすぐ、サーブされた最初の機内食を見て驚いた。ビーフとチキンの2択からチキンを選択。鶏肉とグリンピースのクリームソース・ポテトフライ添え(乳香青豆雞肉佐洋芋)のトレーには、色鮮やかにエッフェル塔が描かれたマカロンがちょこんと乗っかっているではないか。
私がマカロンを手に取って「えっ?」という視線を向けると、キャビンアテンダントがにっこり笑って言った。「Go!Chinese Taipei!Go Japan!」キリン一番搾りを頼んだときに、私が日本人だとわかったようだ。
「マカロンを食べて、選手を応援しよう」という8月11日までの限定企画で、絵柄は「エッフェル塔」のほか「ダイナミックスポーツ」の2種類があった。食べるのがもったいない気もしたが、レモンとミルククリームの上品な味を堪能した。
BR87便の機材はボーイング777ー300を使用し、前方はロイヤルローレルクラスで1-2-1の配列。私は後方エコノミークラス3-4-3の「4」にあたる中央列通路側だった。隣が空いていればと期待したが、ほぼ満席では致し方なし。それでも通路側だったので、シートベルトサインが消えているタイミングで気兼ねなく、トイレに立ったり、ストレッチをしたりできた。トイレはいつも清潔に保たれていて、トイレットペーパーや歯ブラシセット、アイマスクなどは常に余裕を持って補充されていた。
2度の機内食 間隔が11時間でも
ロシア上空の飛行を回避するため、現在は14時間近いロングフライトとなっている台北―欧州便のエコノミークラスで悩ましいところは、1度目の機内食と、2度目の機内食の間隔が11時間近く開く点だ。寝ていても、映画を見ていても、それだけ長いとどうしても小腹が空いてしまう。
だが、機体後方のギャレーに行けば、サンドイッチやチーズクラッカー、せんべいなどの軽食をいつでも自由に座席に持ち帰ることができる。紙コップの水、お茶、ジュースも常時、提供されていて定期的に水分補給もできる。
飛行時間、体感では短く
パリ五輪開幕日当日に降り立つエバー航空BR87便に搭乗した高揚感もあり、14時間25分のフライト時間は体感で実際より短く感じられた。
シャルル・ド・ゴール空港のバゲージ・クレーム(手荷物受取所)でスーツケースを待つ間、チャイニーズ・タイペイバドミントンのYONEXストリンギングチームの女性と話した。「YONEXは日本の会社なのに、私はまだ日本に行ったことがないんです」と彼女は言った。
私が「YONEXの本社は文京区湯島にあって、私の自宅から徒歩5分ですよ」と返すと、「パリ五輪で台湾選手がいい成績を出してほしい。選手と一緒に本社を訪問したいですね」と笑った。爽やかなパリの朝だった。
エバー航空台北=パリは毎日直行便
便名 | スケジュール | 運航 | 所要時間 |
---|---|---|---|
BR87 | 台北(TPE)23:30⇒パリ(CDG)07:55(+1日) | 毎日 | 14h25m |
BR88 | パリ(CDG)11:20⇒台北(TPE)07:10(+1日) | 毎日 | 13h50m |
取材協力・エバー航空
台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2024年にも9年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。