欧州での取材旅行を終えてドイツ・ミュンヘン国際空港(MUC)から2024年4月、台北・桃園空港を経由して成田に帰国しました。今回はそのミュンヘン国際空港で利用したルフトハンザ航空のビジネスラウンジをレビューします。
ミュンヘンはドイツ第2のハブ空港
ラウンジレビューの前に、まずはミュンヘン国際空港の基本情報から。正式名称は「ミュンヘン・フランツ・ヨーゼフ・シュトラウス空港」。バイエルン州の州首相やドイツの連邦財務大臣を務めた政治家フランツ・ヨーゼフ・シュトラウス(故人)の名前を冠した国際空港です。
開港は1992年5月と比較的新しく、ドイツのフラッグキャリア、ルフトハンザ航空のメーンハブ空港であるフランクフルト空港が過密、飽和状態となったため、このミュンヘンがドイツ第2のハブ空港として活躍しています。世界70カ国230以上の都市を結んでいます。空港一つひとつには個性や成り立ち、ストーリーがあり、それを知ることで、その空港での滞在がより味わい深いものになりますね。
スターアライアンス系はターミナル2
2003年6月にはターミナル2がオープンし、ルフトハンザ航空をはじめとしたスターアライアンス各社が利用しています。スターアライアンス以外の航空会社は「ターミナル1」。ルフトハンザ航空などスターアライアンス系航空会社は「ターミナル2」と覚えておくといいでしょう。
さらに2016年4月には、ターミナル2サテライトがオープンして拡張されました。ゲートGとHがあるのがターミナル2。ゲートKとLがあるのがターミナル2サテライトです。
サテライトへは自動運転のシャトルで
ターミナル2サテライトから搭乗する場合は、まずターミナル2でチェックインを行ない、手荷物検査と出国手続きを受けたあと、自動運転による輸送システム(地下鉄のようなシャトル)で約1分でサテライトへ移動します。サテライトというと、かなり遠くまで追いやられるイメージがありますが、シャトルは4分間隔で動いていて、しかも移動時間は1分ほど。ストレスはほとんど感じませんでした。
エバー航空ロイヤルローレルクラスでラウンジ利用
「台湾経由で欧州へ」をおすすめする私たちPen&Voyage編集部は、今回の帰国便ももちろん台湾経由です。エバー航空ロイヤルローレルクラス(ビジネスクラス)を利用しました。エバー航空では2022年より台北ーミュンヘン路線を週4便で運航しています。ANA(全日空)とルフトハンザドイツ航空の2社は日本への直行便がありますが、私たちは経由地の魅力、利便性、安全面などを総合的に比較してエバー航空をチョイスしています。
ミュンヘン発台北行きのエバー航空BR72便はミュンヘン国際空港を正午に出発、台北・桃園空港に翌日の早朝6時35分に到着する12時間35分のフライトです。台北でサクッと乗り継ぎ、その日の昼過ぎには成田に帰国できます。エバー航空はもちろんスターアライアンスの傘下なので、ロイヤルローレルクラス(ビジネスクラス)の搭乗券でルフトハンザ航空のビジネスラウンジが利用できるのがうれしい特典です。
ラウンジホッピングしてみた
ミュンヘン国際空港にはルフトハンザ航空所有のラウンジだけで12箇所もあります。そのうちファーストクラス搭乗客専用のファーストクラスラウンジ、スターアライアンスゴールドメンバーのステータスなどで利用できるセネターラウンジ(Senetor Rounge)などがステータス上位のラウンジ。そのほかにスターアライアンス加盟のビジネスクラス搭乗券で利用できるビジネスラウンジが4つあります。
4つのビジネスラウンジはシェンゲン協定加盟国への渡航前に利用できる2つのラウンジと、非シェンゲン協定加盟国への渡航前に利用できるもう2つのラウンジに分かれています。エバー航空ロイヤルローレルクラスで帰国する際や、日本への直行便のビジネスクラスで帰国する時には必然的に非シェンゲンの2つのビジネスラウンジを利用することになります。
今回はターミナル2で出国手続きを終えてすぐ、H24付近のラウンジと、自動運転のシャトルでターミナル2サテライトに移動してから利用できるL11付近の二つをホッピング(はしご)してみました。
出国審査を終えてすぐ左H24ラウンジへ
まず出国審査を終えてすぐ左、H24 のビジネスラウンジに入りました。Senatorラウンジと入口は同じですが、受付カウンターでエバー航空ロイヤルローレルクラスの搭乗券を提示すると、ビジネスラウンジに案内されます。
ラウンジでまず驚いたのが、今も英語・ドイツ語の紙の新聞、雑誌が置いてあることです。これは結構普通のようで、いまとなっては珍しい。最近の他社のラウンジではQRコードを読み込んでアプリで無料購読するパターンが多いのですが、ルフトハンザ航空のこだわりでしょう。
実際、ニーズは確かにあるようで、複数のビジネスマンや年配の搭乗客が紙の新聞を手に取って読んでいるのをこのラウンジで目撃しました。地元紙には前日のサッカー欧州チャンピオンズリーグでバイエルン・ミュンヘンがアーセナルに勝利した記事が大きく掲載されていました。
シンプル空間、眺めよし
内装はシンプル。テーブル席やソファベンチ、丸椅子など、滞在時間や過ごし方に応じて様々な席が用意されています。とりわけ開放感がある窓際の椅子からはジェット機の離着陸の様子を間近に眺めることができ、この駐機場の眺望がルフトハンザ航空ビジネスラウンジの売りの一つになっています。
タオル、ドライヤーを備えたシャワールームもあり、搭乗前にさっぱりすることができます。高速Wifiや電源など基本的な機能も申し分ありません。
ただ、個人的な感想ですが、ビュッフェの食事はそれほど特筆すべきものではありませんでした。ホットミールはスクランブルエッグとソーセージの2種類。ヨーロピアンの朝食で一般的なパンやフルーツがカウンターの真ん中を陣取り、リンゴやバナナはカットされず丸ごと積まれていました。アツアツの麺類や飲茶や粥、豊富なおかずの数々が並ぶエバー航空の台北・桃園ラウンジや、日系エアラインのラウンジに慣れてしまうと、どうしても物足りなさを感じます。
ラストミニッツまでドイツビール
うれしかったのは地元ミュンヘンのラガービール、シュパーテン(SPATEN)のビールサーバーがあることです。ドイツ出国後、搭乗のラストミニッツまで、ドイツビールが味わえるのは格別ですね。
シャトルに乗ってL11ラウンジへ
次にシャトルに乗ってターミナル2サテライトのもう一つのルフトハンザ航空ビジネスラウンジ、L11ラウンジへ向かいました。ただ、結論から言います。シャトルに乗る前に利用したビジネスラウンジと景色は違えど、機能は同じ。ビュッフェのメニューも代わり映えしませんでした。
エバー航空のロイヤルローレルクラスの特権を最大限、利用してみようと試みた「ラウンジホッピング」でしたが、同じルフトハンザ航空の二つのビジネスラウンジのサービスは、当然ながらほぼ同等です。例えば、成田空港でANAラウンジとユナイテッドクラブラウンジをホッピングするのは特徴の異なるラウンジを両方楽しめるメリットがありますが、同一エアラインのラウンジホッピングは笑止千万。どちらか一つのラウンジでゆったり過ごすのをお薦めします。
ミュンヘン空港 ドイツ南部のバイエルン州ミュンヘンの北東28キロに位置する国際空港。正式名称はフランツ ヨーゼフ シュトラウス国際空港。ターミナル1はスターアライアンス以外の航空会社、ターミナル2にエバー航空などスターアライアンスの各社が発着。日本からの直行便はルフトハンザ、ANAが就航。空港コードはMUC。空港とミュンヘン中心部はSバーン(鉄道)で約45分。
ミュンヘン=台北は直行週4便
便名 | スケジュール | 運航 | 所要時間 |
---|---|---|---|
BR71 | 台北(TPE)23:25⇒ミュンヘン(MUC)07:20(+1日) | 月・水・金・日 | 13h55m |
BR72 | ミュンヘン(MUC)12:00⇒台北(TPE)06:35(+1日) | 月・火・木・土 | 12h35m |
取材協力・エバー航空
台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2024年にも9年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。