2024年2~3月のイタリア取材旅行で食べたものを紹介します。ミラノ在住の写真家・仁木岳彦さんが予約してくれた海鮮トラットリアのほかは予約も検索もせずに何軒か見て回り、「おいしそう」「ここ、いいかも」と思った店に入りました。パスタやピッツァはさすが、本場の底力をかいま見ました。検索のアルゴリズムから外れて、自分だけのとっておきを探してみませんか。
ミラノ風リゾット・ミラノ風カツレツ
ミラノ近郊モンツァでバレーボール取材を終え、午後1時20分ごろミラノ中央駅に戻りました。どこかでお昼を…と、お客さんがたくさんいたトラットリアでランチにしました。ピッツァはマルゲリータ、ねっとりと濃厚なカルボナーラ、ミラノ風リゾット、ミラノ風カツレツです。途中から「頼み過ぎた…」と思いつつ戻れない道、メーンまでたどり着きました。ミラノ風カツレツは薄い骨付き仔牛です。ナイフとフォークで格闘しました。ちなみにパンは何も言わなくても席代に含まれていて、料理より先に登場します。バターはホテルの朝食などで添えられることもありますが、基本的には料理と一緒に、何もつけずにいただきます。
ミラノ「パンとチューリップ」”PANE e TULIPANI”
”Ristorante PANE e TULIPANI”はミラノ中央駅近くの食堂です。「リストランテ」というと高級なイメージですが元々はカフェだったようで、気軽に入れる店構えでした。ちなみに店名の”PANE e TULIPANI”は「パンとチューリップ」という意味です。邦題は『ヴェニスで恋して』とロマンチック路線に振れたラブコメディー映画(2000年)タイトルと同じです。映画の”PANE e TULIPANI”は、アメリカ労働運動のスローガンだった”Bread&Roses”がモチーフとか。パンは最低限の生活、バラはプライドを意味しているそうです。リストランテのオーナーは、この映画のファンだったのでしょうか。などと、後から調べて思いをはせるのも旅のよさですね。
お店は全面ガラス張りで、ほどよくお客さんが入っていました。「ここ、いいかも」と扉を押すと、英語の話せるアジア系のスタッフが「どうぞ」と迎えてくれました。英語メニューもありました。
パンは紙袋に入ってきました。前菜(アンティパスト)に頼んだグラナ・パダーノ(ハード系の牛チーズ)と洋ナシ、くるみの盛り合わせが大ヒットでした。9€です。パッパルデッレだったか、太い平麺のボロネーゼもチーズたっぷりでうれしい。デザートには「サラミ・ディ・チョコラータ」を頼みました。サラミの形をした、私にとってはイタリアといえば…のチョコレートです。前菜、パスタ、デザートと3皿頼み、ビールを飲んで60ユーロほどでした。応対もよく、気持ちよく食事ができました。近くを通りがかったらどうぞ。
Ristorante PANE e TULIPANI con Pizzeria
住所:Via Giulio Tarra, 6, 20124 Milano MI, イタリア
ミラノ”Signorvino”
ミラノを中心に20店舗ほどあるワインショップ兼食堂です。私が行ったのはマイクロソフト・イタリア拠点のすぐ近くの店で、おしゃれなビジネスパーソンでにぎわっていました。カジュアルでおしゃれでモダンで、こういう店が近くにあるとご機嫌で仕事ができそうですね。ビジネスランチは14.9ユーロとあり、日本円生活者にはカジュアルとはいえない価格です。
注文したのは短くて太いリガトーニ(パッケリかも)のカルボナーラ、ラザニア、フォカッチャに、チーズプレートです。パルミジャーノ、ゴルゴンゾーラにプルーンのジャム添えでした。メニューはイタリア語だけですが、フランス語と似ているのでだいたい分かります。スタッフとは英語でやり取りしました。飲んで食べて54.3ユーロでした。
Signorvino
住所:Viale Pasubio, 2, 20154 Milano MI, イタリア
ヴェネチア”Le Cafe”
水の都ベネチアは小雨でした。小道をさまよいながら歩いていると突然、視界が広がりました。サンステファノ広場(Campo Santo Stefano)です。いかにもヨーロッパの小さな街にあるたたずまいで、こじんまりした広場を囲んでカフェやホテルが並び立っています。いくつかある中で「ル・カフェ」のテラス席に座りました。お客さんが飲んでいたカンパリソーダがきれいで、曇天に刺すようなビタミンカラーで、おいしそうだったのです。6ユーロ。イカスミのパスタ(18ユーロ)とボンゴレ(18ユーロ)、コペルト(席代)4ユーロとあわせて46ユーロでした。
そのあとヴェネチアといえば…のサンマルコ広場へ歩いて行き、小道を入った(どこも小道ですが)ところにあるチョコレート店Venchi(ヴェンキ)へ。北イタリア・トリノ発祥の老舗で、いまや70カ国に展開しています。シングルで3.6ユーロほど。コーン(イタリア語だと”cono”コーノ)で余さずいただきます。
ホテルの朝食ビュフェは、素朴なトルタ(ケーキ)がありました。焼きっぱなしで、粉砂糖がふられているだけで、イタリアらしくて好きです。
Le Cafe
ローマで演歌を聴きながら
歴史が息づくローマはテルミニ駅から徒歩10分、5ブロック進んだ通りにあるホテルに滞在しました。ホテルの若いスタッフはロシア出身で、ウクライナとの戦争でビジネスがストップしたといいます。在ローマ・ロシア大使館の仕事とフロントの夜勤を掛け持ちしていると聞きました。そんな話も染み入ります。
朝は近所のバールに行きました。クリーム入りの甘い三日月型クロワッサンとコーヒーという、甘い朝食です。壁に「どこかのビル群の絵かな?」と思ったら、チーズおろし器が積まれていました。隣の席にいた日本人母娘に「Wifiなしで旅行している」というと驚かれましたが、昔は「地球の歩き方」だけで世界中どこでも行ったなあ、と遠い目になりました。
ランチに入った”Trattoria Pizzeria La Tavernetta”は、お客さんがいないしBGMが流れているし(たいていの店は静かなので)少し心配しつつ、スタッフの愛想のよさにつられてテラス席に陣取りました。アンティパストは6ユーロで、悪くありません。カチョ・エ・ペペ(チーズ&ペッパー)やペスカトーレを食べていたら、うっすら流れている曲に気付きました。「上を向いて歩こう」です。私たちのために流している?いや偶然?などと思っていたのですが、「津軽海峡冬景色」「恋人も濡れる街角」と懐かしい曲が続いて確信しました。面映ゆいようなうれしいような気分でした。支払いは42.5ユーロでした。
Trattoria Pizzeria La Tavernetta
住所:Via Vicenza, 56, 00185 Roma RM, イタリア
カリカリのローマピッツァ”MINO”
”Mino”も通りがかりですが、いつもテラス席にお客さんがいるし、店構えも落ち着いていたので、わざわざ(といっても徒歩10分)訪ねました。ブッファーラ(水牛のモッツァレラ)のピッツァがカリカリで最高でした。フリットミストロマーナは野菜や魚フライの盛り合わせです。ソースが合いそうな味わいでした。お約束のカンパリも入れて31ユーロでした。
Ristorante Pizzeria Mino
住所:Via Milazzo, 18, Via Magenta, 48, 00185 Roma RM, イタリア
取材協力・エバー航空
台湾大手のフルサービスエアライン。海運会社を基盤に1989年、台湾初の民間国際航空会社として設立された。2024年3月現在で世界60都市以上に就航する。航空業界の格付け会社スカイトラックス(本社・ロンドン)が認定する「世界の5つ星航空会社」10社のうちの1社で、2024年にも9年連続で選ばれた。日本路線は2024年12月、就航30周年を迎える。2024年3月現在、札幌・仙台・成田・羽田・小松・関空・松山・福岡・沖縄の9空港に就航。2レターコードはBR。英語では「イー・ヴィ・エー(EVA)」と発音される。航空連合スターアライアンスの一員。